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チクセントミハイ博士の東京講演では、博士に「フロー」について直接質問をして、博士の視点をお伺いできました。「フロー」について知る上で特に興味深い2つのQ&Aをご紹介します。

1. フローにいる状態とコントロールにいる状態の違いはなんですか

前回のブログで、8つの精神状態についてご紹介させて頂きました。「コントロール」から「フロー」にいくためには、チャレンジのレベルを上げることがポイントでした。この二つの状態は、より具体的には外から見るとどのような違いがあるのでしょうか。

チクセントミハイ博士の回答は、とてもシンプルでした。そのままお伝えします。「フロー状態の方が、よりワクワクしているし、利益もあがるし、具体的な行動がどんどんおこる」。

「コントロール」の状態にいてもワクワクしているし、利益も出ているし、具体的な行動も起きているかもしれません。そして、それはそれでも十分満足していると思える状態かもしれません。でもその枠を超えてより高いレベルのチャレンジに挑むとき、「もっとワクワクして、行動が増えて、利益もあがるフローの状態」になることができるということです。

2. 個人ではなくチームや組織などの集団全体にフローがおきることはありますか

まず、集団でフローが起きているとき、個人レベルで感じられるフローよりもさらに大きなフロー状態を感じる場合があります。具体的には、伸び盛りのベンチャー企業、チームスポーツの白熱した試合、素晴らしい音楽演奏会などをイメージしていただくと分かりやすいかもしれません。フロー状態の集団は、周りの人も引きつけます。

博士はこれについて、面白い研究を紹介していました。ここで、高校生のバスケットチームが試合をすることを考えてみましょう。

それは、ある戦略を持ったチームと持たないチームが試合をすると、ある戦略をもたないチームが勝つ傾向があるという研究でした。その戦略とは、「チーム内の相対的に優秀なプレーヤーに、できるだけボールを集める」というものでした。限られたゲームの時間、より上手な人がボールを扱っている時間が長い方がいい結果を得られる可能性が高くなる、という考えに基づく戦略です。この戦略は私には合理的に聞こえました。ですが、研究結果はこの合理的に聞こえる戦略を持たないチームの方が勝つ傾向があるというのです。

博士は「監督という自分の外部から与えられた指示に自分の行動をあわせようとした結果、ひとりひとりが楽しみ、没頭してプレーするフロー状態に入らなかったためではないか」と分析しています。もちろん、チームで何かをするには対立も沢山あり、簡単なことばかりではないかもしれません。しかし、チームで「フロー」状態になったときのリターンを考えたら、やってみる価値のあることなのではないでしょうか。

参考:「フロー理論」の8つの精神状態

チクセントミハイ博士の講演をグラフィックファシリテーションで紹介

  1. クリエイティブな人の特性
  2. チャレンジとスキルのバランス
  3. 「フロー理論」の8つの精神状態
  4. 指示を与えるのは逆効果?チクセントミハイ博士に聞く「フローと集団」
  5. クリエイティビティを起こすために必要なもの
  6. 組織文化が独創性を育て、独創性が新たな組織文化を育てる

「フロー理論」の第一人者、チクセントミハイ博士の初来日講演の一部を、グラフィックファシリテーションの技法を使って6つの章にまとめています。本記事では4章のみお伝えしましたが、いかがでしたでしょうか?「クリエイティビティが生まれる条件」についてより詳しくご覧になりたい方は、下記より1冊のebookとしてダウンロード頂けます。貴社での組織づくりに、是非お役立てください。

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牧原 ゆりえ
一般社団法人サステナビリティ・ダイアログ代表理事/Art of Hosting Japan 世話人 国際基督教大学を卒業後、大手監査法人に公認会計士として勤務。出産を機にサステナビリティに強い関心を持つようになり、家族とともにスウェーデンで4年に渡り生活。持続可能な社会のための戦略的なリーダーシップ等2つの修士課程で学ぶ。留学中に出会った北欧発の参加型リーダーシップトレーニングArt of Hosting、グラフィック・ファシリテーションを軸に、スウェーデンのサステナビリティ戦略フレームワークを伝えるための活動を展開。