「フロー理論」の提唱者、チクセントミハイ博士の初来日講演(2014年11月28日)の一部をグラフィックファシリテーションの技法を使ってご紹介します。

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チクセントミハイ博士は、人が時間をどのように使っているのかを調べるために経験抽出法(ESM)を開発し、被験者の思考、意識の状態、その時の行動について調査しました。

みなさんがこの調査の被験者になったとしましょう。あなたは、ランダムにアラームが鳴る時計とメモ帳を手渡され、アラームが鳴った時点の状況を記録していきます。

例えば、その時お子さんとテニスをしていて、「彼もずいぶんテニスが上手になったなあ。今日の天気は気持ちがいいな」と感じたとしたらそれをそのまま記録します。

そして、その時の幸せ度10、集中度6、やる気8などと、定量的に評価します。このアラームは1日におよそ10回鳴ることに鳴っていました。そんなデータを何万件も集めて、チクセントミハイ博士は「フロー状態(物事に集中しているかどうか)」について調査を行ったのです。

フロー理論の前提と研究結果

……気が遠くなりそうな調査を経て、以下のことが分かりました。

  • チャレンジ(これから何かに取り組んでみようという気持ち)とスキル(自分自身の現状の能力)の相互関係
  • 実際に味わった体験がチャレンジとスキルから分析したらどのような性質になるのか。
    図の中心、つまりスキルとチャレンジの平均からみて、スキルもチャレンジも高いときに人は「フロー」状態になるのです。

この「フロー」状態ですが、これは行っている作業に集中しており、かつそれが成功しているというもっとも望ましい状態です。

人間には、そのほかにも、以下のような精神状態があります。

  • 不安
  • 心配
  • 無気力
  • 退屈
  • くつろぎ
  • コントロール
  • 覚醒

「フロー」以外の状態もみてみましょう。

チャレンジが平均より高く、スキルが平均レベルのとき人は「覚醒」しています。つまり、精神的に集中して活動に没頭していますが、チャレンジに見合うスキルがない分、活動に力強さはなく、自分で手綱をひいている感覚もないでしょう。

チャレンジが平均レベルにあり、スキルが平均より高いとき、人は「コントロール」の状態にあります。つまり、幸せを感じ自信をもって行動しているのですが、スキルに拮抗するチャレンジがない分、「こんなことをやっていて、いいのだろうか」という気持ちも出てきます。

ただ、問題点はあるものの、この2つの状態は、前回見た通り、それぞれより高いスキルを求め、より高いチャレンジを自分に課すことで成長し、「フロー」状態に到達できる期待が見えます。

またここから、学習とそれを支える教育や研修の制度が大切なのも、一目瞭然で分かる思いませんか。

スキルが低いと、チャレンジの大きさに係わらず「不安」「心配」「無気力」と、どれも幸せのイメージとはほど遠い状態になってしまうからです。

「くつろぎ」についてはどうでしょう。チャレンジが小さく、スキルが高いときの状態ですから、その余裕から生まれる穏やかな人間関係からくる「幸せ」な感情だってありそうです。でもチクセントミハイ博士は言います。「こういう幸せは大切だけれど、自分以外のほかの環境に依存していて、長続きしないものでもある。それに対して『フロー』状態から感じる幸福は自分たち自身が導くことができる」と。

環境の変化が激しい今だって、どんな状況にいたって自分次第で幸せになれる。それも、チャンレジとスキルを追求して、成長していくうちに、きっと幸せを感じられる。

ポジティブで、実践的な呼びかけだと思いませんか。2015年もはりきって「フロー」していきましょう!

チクセントミハイ博士の講演をグラフィックファシリテーションで紹介

  1. クリエイティブな人の特性
  2. チャレンジとスキルのバランス
  3. 「フロー理論」の8つの精神状態
  4. 指示を与えるのは逆効果?チクセントミハイ博士に聞く「フローと集団」
  5. クリエイティビティを起こすために必要なもの
  6. 組織文化が独創性を育て、独創性が新たな組織文化を育てる

「フロー理論」の第一人者、チクセントミハイ博士の初来日講演の一部を、グラフィックファシリテーションの技法を使って6つの章にまとめています。本記事では3章のみお伝えしましたが、いかがでしたでしょうか?「クリエイティビティが生まれる条件」についてより詳しくご覧になりたい方は、下記より1冊のebookとしてダウンロード頂けます。貴社での組織づくりに、是非お役立てください。

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