サスティナブル経営を推進している株式会社ビジネスコンサルタントがその実践者3名を招いて開催したセミナー(「サスティナブル経営で競争優位を築く 『サスティナブル経営の実践』」:2015年10月15日・17日)の講演内容から、数回に渡ってポイントとなる点をご紹介しています。

3人目の登壇者、ヨーラン・カールステッド博士によれば、企業とは結局のところ、価値あるものをお届けするためのものであり、そのためのHuman Energyを作らないといけない点では皆同じ、ということから「Human Energyを生み出す組織づくり」についてヒントをもらいました。前回は4つのポイントのうち最初の2つをお伝えしました。

①時代にあったプロジェクトをつくろう

②さあ一緒に創ろう、ってよびかけよう

今回は残る2つの大切なポイントをお伝えしましょう。

step2

Human Energyを生み出す組織づくりのポイント

③まちがいを歓迎する組織文化を作ろう

「ひとりひとりの多様性と創造性を活かして、今までにないものを創り出そう!」というよびかけに集まるHuman Energyをさらに活性化するために、間違いや失敗を歓迎する姿勢をもちましょう。

何かがうまく行かなかった時、自分だけヘルメットをかぶって遠く離れたところにさっと身を置き、それを誰かのせいにしたり、環境のせいにしたりするヒトはいませんか。(図1)1

もともと官僚的な統治の仕方は、私たちの中にある“間違うことへの恐れ”から生まれたと考えられています。恐れで萎縮してしまいがちなHuman Energyを解放するためには、そもそも間違うことは怖くないという前提にたつヒトがふえることが大切です。
カールステッド博士はその点について、IKEAの組織文化の面白い一面を紹介されていました。

IKEAでは、思った通りにならない時、「みんなで考えたのに、うまくいかなかった!それは興味深いね。なぜだろう」とみんなで探究するのだそうです(図2)。2(修)

その過程で、うまくいかなかった理由がわかったり、もっと大切なポイントに気がついたりとどんどん学んでいくので、うまくいかなかったことや足りなかったことは、新しい可能性へ向けた学びのタネとして受け取ることが出来るのです。

このことはお互いを活かすという視点にも大きく影響します。例えばチーム・メンバー全員の現在のスキルという過去の実績より、みんなで成功する可能性を開く何かを持ち寄れるかどうかに焦点をあてることが大切ということです。

④「企業の事情」の外側の視点を積極的にとりこもう

「お客様は神様です」という考え方が大切だということは、知らないビジネスマンは恐らくいないでしょう。でも、これを本当に実践しているヒトはどのぐらいいるでしょうか。

ここでの意味は、みなさんの上司や本社の都合、業界の慣習より、お客様を本当に大切にしているかということです。もちろん組織で働く全てのヒトが直接お客様とコンタクトがあるわけではありません。

そういう場合は、上司や本社の都合に仕えているヒトではなく、本当にお客様のために仕えているヒトに仕えようと言うことです(図3)。3
カールステッド博士はIKEAフィラデルフィアの代表でいた頃、2年間土日はショップに出て、お客様の荷物を運びながら、お客様の声をとにかく聞いたそうです。「またIKEAに帰ってきたいですか」「お友達にIKEAのいいところをどんな風にシェアしますか」などなど…。キャンペーンなんてする必要はないのです。競合他者に目をひからせているより、ずっとたくさんのことを学ぶことができました。そして、課題が見つかればオフィスに帰って来て、①〜③のようなプロジェクトを立ち上げ、仲間と解決していったのです。

こんな風に会社のまわりの人々や環境、つまりサプライヤー、地元の住民の方、今そして過去や未来の従業員のヒト、そして自分が住む地球という環境に耳を傾けるのです。オフィスの中で、自分たちでだけ話をしていても仕方がありません。私たちのパフォーマンスは、どんな風に事情を説明するのかではなく、どんな行動をとったのかで測られるのです。

そうやって多くのヒトの話をきくことで,、話をしてくれたヒトの視点というHuman Energyを組織に取り込むことができます。そして、実際に行動することで築く信頼は、言い方を変えればそれはそのまま会社のブランドになります。そういうブランドに、さらに大きなHuman Energyが集まります。

Human Energyが持続可能な社会にとっての礎

いかがでしたか。
今回の講演会のテーマは「サスティナブル経営の実践」であり、カールステッド博士は実際持続可能な社会を作るための活動家としてとても有名な方です。

しかし、講演の最初の部分で聞こえたのは「サスティナビリティ」の言葉ではなく、Human Energyだったということを、意外に感じられた方もいたかもしれません。つまり彼は、持続可能な社会を作っていくために必要な「サスティナブル経営の実践」の肝は、わたしたちひとりひとりの力だということを伝えたかったのではないでしょうか(図4)。4

実際カールステッド博士は、ご自身や相手の立場や地位と関係なく、ヒトに向き合い、学び続け、そのヒトの可能性に敬意を払う方です。彼のメッセージを、単に成功者の話としてではなく、本人から日本で聞くことができたことの意味を感じています。

短い英語のプレゼンテーションはこちらでも聞けますので、彼のメッセージにもう一度触れたい方、ぜひこちらもどうぞ。
https://www.youtube.com/watch?v=7d_ew6yQgR8
https://vimeo.com/117163863

次回からは、このHuman Energyの活用先となるサスティナブルなビジネスモデルについて、その後は「サスティナビリティ」の時代のリーダーシップについてご紹介して行きます。次回もどうぞお楽しみに!

 

【サスティナブル経営で競争優位を築く WINセミナーシリーズ】 
1.自社のチェックリスト① 持続可能なビジネスか否か-4つの持続可能性原則
2.自社のチェックリスト② 持続可能なビジネスか否か-5つのはしご
3.スカンディックホテルのサスティナブル経営 実践事例~ハードの側面~
4.スカンディックホテルのサスティナブル経営 実践事例~ソフトの側面~

5.組織で成果を出すために必要なHuman Energy をどう育てるのか_前編
6.組織で成果を出すために必要なHuman Energy をどう育てるのか_後編
7.サスティナブルなビジネスモデルを作るために知っておくべきこと
8.持続可能な経営を導くリーダーシップとは

いかがでしたでしょうか。本記事では、これからの組織づくりにおけるHuman Energyの重要性について理解を深めて頂けたかと思います。 サスティナビリティの環境の観点からご参考いただけそうなebookを、以下にご紹介します。 地球環境問題の解決に大きく貢献した個人や、組織を顕彰する国際賞「ブループラネット賞」をご存知でしょうか?同賞を創設し、20年以上にわたって表彰し続けている公益社団法人 旭硝子財団では、さまざまな地球環境問題解決に関わる事業を行なっています。同財団事務局長・安田哲朗氏にお話をうかがい、4章にまとめました。是非ダウンロードして、貴社の取り組みにお役立てください。





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