仕事をしていると、「なんであの人は分かってくれないんだろう」「なんで自分だけがこんな目に遭うんだろう」と感じることがありますよね。

私自身も、半年の間にそんな経験をしました。このことについてお話したいと思います。弊社では半年前には部門の再編があり、今まで仕事をしたことのない社員や中途入社の方とも一緒に机を並べて仕事をすることになりました。これが、私にとっては大きな変化でした。

違う部署や会社で働いていた人と一緒に働くと、仕事の進め方や出社時間などさまざまな違いに気づきます。小さな違いのはずが、驚くほど大きなコミュニケーションギャップを生んでしまったこともありました。

そんな時、「なんで分かってくれないんだろう?」と一人でモヤモヤすることもありましたが、今思い返すと、自分の思い込みですぐに人や状況を判断していたことに気づきます。

今回は、「なんで分かってくれないの?」と思ったり、「なんでこんな目に遭わないといけないの!」と思ったりした時の対処法についてご紹介します。

“異動”の辞令が出たその時!

異動の辞令が出た時、半数以上の人は「左遷された」とネガティブに受け止めると聞いたことがあります。私も今の部署への異動辞令を聞いた時には、頭の中が真っ白になったのでこの受け止め方はよく理解できます。

その時の私の頭の中はこんなことでいっぱいでした。

  • 今月成果が出せなかったから異動になったのかもしれない
  • 私なりに頑張ってきたのに、なんで認められないんだろう
  • 成果が出せていない人は他にもいるのに、なぜ私だけが……
  • やっぱり私は嫌われているんじゃないだろうか

これがグルグルと頭の中でまわり始め、ますますネガティブになり、先輩や同期からの「異動おめでとう!」の言葉すら嫌味のように思えてきました。

この時の私はすごく嫌な人間になっていたと思います。その後も残念ながら数か月モヤモヤした日が続き、活動量も低下してしまいました。

このように、多かれ少なかれ、ある出来事をきっかけにネガティブな思考に陥ってしまうときがあるのではないでしょうか?

コントロールすべきは感情?

私たちは、通常、自分にとってネガティブな出来事が起こった時、その瞬間に怒りや悲しみなどの感情が引き起こされると考えています。そして、感情がコントロールできて初めて大人なんだと教えられて育っています。

それは本当なのでしょうか?

感覚的にはそのように感じますが、実際はそうではないことが分かっています。実は、出来事(刺激)と反応(感情や行動)の間には「考えを選択する」余地があるのです。

これは心理学のATCモデルで説明することができます。

AActivating Event(出来事)
TThoughts(考え・思考)
CConsequences(もたらす結果)

何か自分に反応を起こす出来事が起こった時(A
その出来事に対して瞬間的に考えが浮かび(T
その考えによって、感情や行動がもたらされる(C
というモデルです。

先ほどの、私の異動を例にとると、

A:異動の辞令が発表された
T:私は嫌われているんだ
C:不安になって何も手をつけない

といったように分析できます。

私が感情的に不安にかられたのは、実は瞬間的に浮かんできた考え(T)に支配されていたということなのです。実際は、後になってしかるべき人に異動の理由を聞くと、期待されての異動だったことが分かり、とても嬉しかったことを今でも覚えています。
異動発表当時の私は思考の罠に陥って、根拠のない思い込みをしていたのですね。

では、このような思い込みや、勝手な決めつけのような思考の罠に陥ってしまわないためにはどうしたら良いのでしょうか?

思考の罠からの脱出

まずは、出来事(刺激)と反応(感情や行動)の間には「考えを選択する」余地があるということに気づくことです。そして、自分がどんな時に非生産的な行動を引き起こす感情が現れるのか、陥りやすい思考の罠はどのようなものかを知っておくと、対処がしやすくなります。

さらに、瞬間的な感情を発散させ、心を落ち着かせるための自分なりの方法をいくつか持っておくことも大切です。

辞令発表当時に、私がこの考え方を知っていれば、冷静に現実を捉えることで、その後の数か月の活動が変わっていたかもしれません。

困難な出来事や、不運な出来事に遭った時にでも、くよくよしたり、現実から逃げたりせずに、生産的な活動に移すことができるかどうかは、状況の捉え方次第なのです。

これを可能にするプログラムをBConでは“ストレングス・ベースド・レジリエンス・プログラム(SBRP)”として開発しています。

単なる「楽観主義」や「何でもポジティブに捉えよう」という気合論や人生哲学ではなく、思考のトレーニングとして誰でも実践できるプログラムです。

http://www.bcon.jp/service/positive/indivisual/sbrp/

いかがでしたでしょうか? 仕事を進める上では、どの組織においても大小様々な問題が発生します。本記事の内容が少しでも課題解決のヒントになりましたら幸いです。 「思考の罠」に関連してもう一つお勧めしたい手法に、「クリエイティブタイプ」診断があります。 「クリエイティブとは何か」に関する視点は人それぞれですが、ここでは6つのクリエイティビティを定義し、あなたの思考プロセスを分析します。 ご興味のある方は下記よりダウンロードし、ご自身の「クリエイティブタイプ」をぜひ診断してみてください。

廣瀬 沙織
東京工業大学大学院 社会理工学研究科 修士課程修了/ 一般社団法人日本ポジティブ心理学協会 理事。 株式会社ビジネスコンサルタントにて営業マネジャー職を担当。その後、同社における顧客組織の組織開発と人材開発への投資効果と投資効率を最大限に高めるための会員制サービスの商品戦略を担当。現在は同社の研究開発マネジャーとして、サステナブル社会の実現のため、ポジティブ心理学やイノベーション理論、自然科学ベースの戦略策定フレームワークに基づく商品開発およびその実践を担当。