出雲大社は2013年、60年ぶりに遷宮しました。これは「平成の大遷宮」と呼ばれ、大きな話題を呼んだので、覚えている方も多いかと思います。
この修造遷宮には、東日本大震災で被害に遭った東北地方の材木が使われていたり、銅板部分の張り替えを130年ぶりに行ったりしたことでも話題になりました。
「遷宮」がなぜ行われるのか、調べてみました。諸説あるようですが、有力な説は3つです。
- 弥生建築である木造建築の老朽化に対応するため
- 社殿の建築など様々な技術を継承するため
- 神社は清浄であることが必要なので、リフレッシュのため
この遷宮の取り組みが、目の前に起こっている課題である「震災への対応」と同時に、将来世代へ技術を伝承する長期視点での対応まで視野に入れて、計画的に取り組まれていることに驚きました。
このような、「現在生じている課題への対応(震災への対応)」と、「長期視点での対応(技術の伝承)」を合わせて考えていくことは、企業においても重要です。
今回は、企業の健全性を維持するために必要な2つの変化対応力についてご紹介します。
変化を先取りして競争力を生み出す力
6年前、アメリカの組織効果性センター クリス・ウォーリー教授に「組織の機敏性」という言葉を教えて頂きました。
10年以上にわたり業界平均以上のROA(Return On Assets/企業が持つ総資産を使って、どれだけの利益を出したか?ということを示す指数)を維持している企業を、ウォーリー教授は「機敏な組織」と名付けています。
このような会社は、社内外の環境に左右され、業績がいい時もあれば悪い時もあるといったような組織運営をしている企業とはまったく違う性質を持っています。
「機敏な組織」を調べたところ、以下の2つの特徴がありました。
- 現在の環境に素早く対応する柔軟性
- 変化を先取りして新しい競争を作り出す活動
この2つが実践できている組織が、常に好業績をあげているということです。
「この2つの要素が大事だ」とトップから伝えられている企業は、日本でもとても多いのではないでしょうか?そこで弊社で、日本企業の実態を調べました。
組織が機敏性を高めるポイントは?
BCon(株式会社ビジネスコンサルタント)では、日本企業がどれだけ「機敏性」を持っているのか調査をしました。
調査組織数:7社(社員数:最大729名 最小48名)
アンケート回答者総数:939名
期間:2012年12月~2013年4月
その他にインタビュー調査も実施しました。
「機敏性」が低い組織の特徴は大きく3つありました。
(1)目的・ミッションの共有度が低い
企業活動の目的や意義・意味の共有レベルがまだ低い。
(2)情報の透明性が低い
組織の中で起こっていることを充分に理解している従業員が少ない。
(3)将来に焦点をあてた議論の時間が短い
目の前の問題解決に多くの時間を使っている傾向がある。
将来のシナリオを持ち、全体を見渡した議論を行う時間が少ない。
あくまで、これは7社のデータによる結果ですので、日本企業全体にその傾向があるとは言い切れません。ただ、1000人近くの社員に対して行ったこのアンケートは、参考になることも事実です。
この結果を見て、皆様の組織では思い当たることがないかを、ぜひ考えてみてください。
BConでは、「組織の機敏性」を測定する診断をお客様へ提供しています。国内だけを考えても環境が急激に変化しているなか、それに対応する自社の「機敏性」を上げていくことは益々求められています。
「機敏性」に関してご興味ある方は、以下のURLをご確認ください。
http://www.bcon.jp/service/od/organizationCulture/agility_program/
ブログでは組織の機敏性の診断についてご案内しました。関連して、機敏な組織であるためには、個人については、創造性が重要となるといえるでしょう。「クリエイティブとは何か」に関する視点は人それぞれですが、ここでは6つのクリエイティビティを定義し、あなたの思考プロセスを分析します。 ご興味のある方は下記よりダウンロードし、ご自身の「クリエイティブタイプ」をぜひ診断してみてください。
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東京工業大学大学院 社会理工学研究科 修士課程修了/ 一般社団法人日本ポジティブ心理学協会 理事。
株式会社ビジネスコンサルタントにて営業マネジャー職を担当。その後、同社における顧客組織の組織開発と人材開発への投資効果と投資効率を最大限に高めるための会員制サービスの商品戦略を担当。現在は同社の研究開発マネジャーとして、サステナブル社会の実現のため、ポジティブ心理学やイノベーション理論、自然科学ベースの戦略策定フレームワークに基づく商品開発およびその実践を担当。