11月25日大阪、28日東京でチクセントミハイ博士の講演会を開催しました。
冒頭、お話しいただいたのはソニーの設立趣意書にみる活性化した組織が持つ3つの「E」についてです。

3つのEって何のこと?

【設立趣意書からの抜粋】

技術者たちが技術することに深い喜びを感じ、その社会的使命を自覚して思い切り働ける安定した職場をこしらえる

【3つのE】

  •  Excellence・・卓越
  •  Ethics・・・・・倫理観
  •  Enjoyment・・・楽しみ

ソニーの創業期のことだと考えると、ちょっとレベルが高く、この話をきいたとき、私はこれは一部の優良組織のことだと思ってしまいました。
しかし、どんな仕事をしていてもこの要素は求められるものだと、博士は続けました。

日々の仕事に見る3つのE

例えとして、サンドイッチの中に挟むサーモンをスライスする職人の話をされました。

その職人は毎日、毎日、サーモンをスライスするのが仕事です。単純作業だと感じてしまいますが、この職人の中にはしっかりと3つの「E」が息づいているというのです。

職人の仕事内容は、ただサーモンの切り身を作るということではありませんでした。お客様が食べるのはサンドイッチに挟まれた状態です。それを考え、一番美味しく食べられる薄さを追求していたそうです。

さらに心がけていることは、魚の扱い方です。単に材料として扱っているのではありません。漁師が釣り上げた大事な魚ですし、コスト面も考えて出来るだけ無駄が出ないように工夫して切っています。

最後に、こうした努力を「頑張っている」という風に見せないで、まるで芸術かスポーツをしているように見せることを考えていたそうです。

この職人のなかには、ソニーの設立趣意書とは表現は異なりますが、やはり3つの「E」が埋め込まれています。

  • 食感が良くなる薄さの追求 → Excellence
  • 無駄がない切り方 → Ethics
  • 芸術やスポーツのように見せる → Enjoyment

博士は、毎日の生活が素晴らしいものになるかどうかは、結局は何をするかではなく、「どのようにするか」にかかっていると話されました。

自分の仕事、特にマンネリになっている仕事を振り返った時に、文句を言うのではなく、それ以前に考えなくてはならないことがあるのだと思えました。

仕事のなかに3つの「E」をどのように持ち込むかは、誰かが与えてくれるものではなく、自分が楽しめるようにどうするかを考えないといけないと、この話は気づかせてくれたのです。

マンネリの原因を突き止めよう

しかし、一度マンネリになってしまった仕事を楽しめるようにするために、先ほどのサーモン職人のように3つの「E」を持ち込むのは、簡単なことでないと感じます。

なぜ、仕事をマンネリだと感じるのでしょうか?
博士は次の3つのように考えていることが原因だと指摘しています。

1.仕事は無意味である
→ 誰にも役に立つことがないと思っている

2.仕事は退屈で月並み
→ 多様性もチャレンジもなく成長できないと思っている

3.ストレスが多い
→ 仕事そのものに疲れを感じる

ただ、そうは言っても、ルーチンワークはマンネリになりやすいんだけどな……。
そう思っていたところ、博士は、アイロンをかける職人の話を教えて下さいました。彼は毎日、ワイシャツにアイロンをかける職人なのですが、
「お客様が新品かと見間違うような仕上げにする」
という目標を持って毎日集中して取り組んでいるそうです。

このように、出来るだけ全ての事に最善を尽くすようにすることやそれから更にもっと良くしようと目標を見つけることが、仕事をマンネリにしないことに役に立つのです。

マンネリを打破する方法を知る

通常、人はマンネリ状態になると、仕事以外のことに気持ちを捉われて、集中できなくなるそうです。
しかし、これを改善する方法があります。それが、自分で要求レベルを超える目標を考え、仕事自体に注意(心的エネルギー)を注ぐというものです。これにより、仕事を面白く感じられるようになる、というメカニズムが働きます。

そのために、次のようなことを仕事のなかで考えるのが良いようです。

1.仕事において何が起こっているかに意識を集中する

2.今の状態が仕事をする唯一のやり方だと思い込まない
よりよいやり方を考え実践することを楽しむ

3.あらゆるチャレンジをする
人生の中で40%は仕事に時間を費やしているといいます。

仕事を楽しむために3つの「E」を取り入れ、集中することで人生そのものが楽しみになるような目標を考えていきましょう。

チクセントミハイ博士の初来日講演の一部を、グラフィックファシリテーションの技法を使って6つの章にまとめています。マンネリを打破し、クリエイティブな職場、組織づくりについてより詳しくご覧になりたい方は、下記より1冊のebookとしてダウンロード頂けます。貴社での組織づくりに、是非お役立てください。

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