Good Business Good Peopleを運営する株式会社ビジネスコンサルタントでは、2022年4月、Well-being共創ラボを設立しました。

私たちは、これまでも、企業が良いビジネス、良い組織運営をして、働く人たちが成長し、「働く喜び、生きる幸せ」を実感できることを大切にしてきました。デジタルトランスフォーメーションの進展、パンデミック等の影響で、働く人の価値観や働き方は急速に変わりつつあり、組織のあり様も大きく変化していくことでしょう。私たちは、そんな時代の組織が大事にはぐくむべきもの、それがウェルビーイングだと考えています。経営としてウェルビーイングをどのように捉え、実践し、より良き組織づくりに生かしていけるか。そして会社の枠を超えてウェルビーイングの循環を起こせるか。このラボの目的は、パートナー組織の皆さまとともに、ウェルビーイング経営について学び、繋がり、実践を共有することです。2022年11月現在、弊社と長年ご縁を頂いているお客様、100組織以上に賛同パートナーとして登録を頂いています。

今回の記事では、2022年9月に開催した、Well-being共創ラボの初めてのイベント、第1回Well-being共創会についてご紹介します。

ウェルビーイング経営の実現に共感する経営者ご参加のもと、第1回Well-being共創会を開催

2022年9月20日、当初は京都で開催予定であった第1回Well-being共創会。大型の台風が西日本へ上陸したため、オンライン開催に切り替え、イベントを実施しました。冒頭は、株式会社ビジネスコンサルタント代表取締役大村昌平より、ラボ設立の趣旨をお話させていただきました。

誰もがウェルビーイングを実感できる、サステナブルな世界を作るために

昨今、ウェルビーイングやエンゲージメントといった言葉をよく耳にすることになってきました。

㈱ビジネスコンサルタント代表取締役社長執行役員 大村昌平

Well-being共創ラボの設立に当たって、最初に我々が考えたことは、誰もがウェルビーイングを実感できるような、サステナブルな世界を共に作っていきたい、というものです。我々が企業経営をしている以上、ウェルビーイングやサステナビリティに取り組むことが、組織の成功にも繋がっていくことは肝要です。ふり返ってみると、こうした考えは、経営に関する教訓としてこれまでも語られてきました。例えば、二宮尊徳さん、渋沢栄一さん、はたまた、ピーター・ドラッカーなどです。 二宮尊徳さんは、「道徳なき経済は犯罪だ。経済なき道徳というのは戯言だ。」こういうことをおっしゃっていたようです。この道徳とウェルビーイングには共通する意味があると思います。

いま、働く人たちや自社に関係する人たちがウェルビーイングを実感できているということが、事業経営の重要な鍵を握ってきていると、皆様も感じておられるのではないでしょうか。

まず初めに、私たちは現時点で、様々な学識者、経営者の方々とお話させていただいて、ウェルビーイングをこのように捉えています。

Well-beingとは、単に主観的な満足感が高いだけでなく、「生きがいのある人生を送っているという善い状態」のことです。瞬間的で感情的な幸せを表す幸福感(Happiness)とは異なり、「持続的な幸福度」を増大させていくことを意味するのがWell-beingです。

この文章の2文目にある瞬間的で感情的な幸せ、「やった」というような喜びもあるわけですが、そのような一時的感情とは少し異なる、持続的な幸福度を増大させていくことが、ウェルビーイングなのでは、と私たちは捉えています。これを私自身はよく、「しみじみと実感していく幸せ感」と表現しています。「この仕事をやっていてよかったな」とか、「この組織で働くことができてよかったな」と感じられるこということです。さらに、会社の事業そのものにおいて、様々な社会課題を解決することをビジネスとして展開している、それが社会へ貢献している実感につながっているということも重要です。

ウェルビーイングが重要な経営テーマとなる4つの理由

ウェルビーイングはこれからの重要な経営テーマになってきています。その背景には様々ありますが、ここでは4点ご紹介します。

  • 1.SDGs・サステナビリティへの関心が非常に高まってきて、幸せとは経済的な豊かさだけではない、精神的な豊かさも含まれるのだ、という受け止め方が広がっていること
  • 2.日本も含め、世界各国で人的資本経営のガイドラインが提示され、企業は財務やESGに加えて、人的資本についても情報開示を進みていく。これは、人をコストではなくて、資本だと捉えて、その人に投資をして、企業価値を最大化していくことを重要視する流れを生みます。企業は、この人的資本に対しどのような取り組みをしていくのか問われるようになります。
  • 3.働く人たちの関係性が、チームや組織のパフォーマンスに影響を与えることが広く理解されるようになったこと。私どもでは「社会関係資本」という言葉を使ってきました。働く人たちが、自分が所属している組織や職場においてより良い関係性を築いていて、社会関係資本が高まることが、持続可能な企業活動に繋がります。
  • 4.ウェルビーイング経営の実践を後押ししてくれる動きとして、学術的な観点では、ポジティブ心理学等の研究が進み、科学的に検証されたウェルビーイングを高めるアプローチがさまざま紹介されるようになってきています。

Well-being共創ラボ、3つのキーワード

次に、共創ラボの3つのキーワード、「共創」「ラボラトリー」「京都発」についてです。

①共創

ウェルビーイングが重要視されるようになってきたと申し上げましたが、このウェルビーイングに企業経営として取り組むにあたっては、まだ確立された方法はありません。これまでビジネスコンサルタントでは、主に欧米の研究者の方々に直接教えを請い、そうした知見に基づくプログラムを我々が日本のお客様に向けてアレンジし、お届けしてきました。ですが、ウェルビーイングに関しては、そのやり方は少し違うのではないかと考えています。

弊社と長年ご縁を頂いてきた企業の皆様、学識者の方々、哲学宗教界の方々など、様々な方々と協働して初めて、新しいものが生まれるのではと考えています。多様なものの見方・考え方、感じ方を持つ方々が一堂に会し、そこで様々なやりとりを通じて、新しい化学反応が起き、イノベーティブで創造的なものを生み出せるのではないか。こうした進め方を目指して、「共創」と掲げさせていただきました。

②ラボラトリー

次にラボラトリーとした意図です。私たちは、何に取り組むにしても、ついつい正解を求めがちです。一つの正解みたいなものがあって、その正解を我々が習得をして、組織に展開していく、そんな発想をこれまでは持ってきました。ただ、ウェルビーイングというのは新しいテーマです。これからいろんな活動を通じて、私たちは組織としてウェルビーイングを高め、経営として実現するための知恵を紡ぎ出していきたいと考えています。完璧主義ではなく、スピード感をもって、仮説を立てたら、我々と皆さんと一緒になってやりながら、手直しをしながらどんどん前へ進んでいければ思います。

③京都発

最後に京都発です。京都は、日本の文化・伝統を象徴する街として、世界に知られています。私共は、日本文化にはもともとウェルビーイングに通じる考え方があったと考えています。日本では昔から経営者の方々が、人を大切にする理念を掲げ、企業経営が持続することを重要視してきました。その結果として、100年、200年と続く企業数が世界一と言われ、それがなぜ可能なのかを知りたいという海外の経営者も多くいます。そこで、皆さまと一緒に取り組みながら、共創ラボで得た知見やアイデアを世界のいろんな企業の方々にも発信していくことができればいいし、その際には京都発となっているとインパクトがあるのではないかと考えた次第です。これから様々な活動を始めてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。


続く記事では、基調講演に登壇いただいた、妙心寺退蔵院副住職、松山大耕さんのお話をご紹介します。なぜいまウェルビーイングなのか、ウェルビーイングを育むために私たちが心にとめておきたいことについて、お話しいただきました。


Well‐being共創ラボは、現在は株式会社ビジネスコンサルタントとご縁のある組織・お客様と共に進める取り組みです。私共の活動にご関心のある方は、お問合せよりご連絡ください。

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