アントレプレナー(起業家)育成に関する興味深い話があります。
ある中高一貫教育を行っている女子校での取り組みです。

その学校では、「卒業して10年後に自立した女性として活躍してほしい」という方針で、教育カリキュラムが工夫されています。

その1つの取り組みに、業家体験プログラムがあります。

初めてその内容を聞いたとき、非常に本格的であることに驚きました。税理士、弁護士、経営コンサルタントである保護者たちが、企業の作り方、新規事業のビジネスプランの作成、決算の仕方、株主総会の運営のアドバイスを行っています。

このように、プロの専門家がボランティアで学校の取り組みの一部をサポートし、子どもの教育に関わっているのです。

「これからのイノベーション」を決定づける教育具体例

3年生(中学)と4年生(高校1年)でビジネス体験カリキュラムを行っています。

春ごろにクラス内で新商品アイディアのプレゼンテーションとコンペを行い、2~3のアイディアに絞ります。プレゼンテーション用資料には、商品コンセプト、ターゲット、提供価値、本人の選択理由(Will)を記載します。これだけでも本格的です。

絞られた2~3のアイディアをビジネスプランにまとめて、他のクラスと一緒にプレゼンテーションを行います。クラス代表になったアイディアは、詳細のビジネスプラン(収益シミュレーションを含む)を作成し、投資家向けに改めてプレゼンテーションを行います。

このプレゼンテーションが大変に本格的で、プロのベンチャーキャピタリストや経営コンサルタントが参加しています。そこで投資が決定すれば、晴れて企業を立ち上げることが可能になるのです。

アントレプレナー育成術、実社会でもビジネスに!?

その後は、年によって異なりますが、食品会社やキャラクター制作会社などとコラボレーションを行い、製品化します。

9月の文化祭がテストマーケティングの場になり、生徒や卒業生、家族などが購入していきます。そこでは、集客のためのプロモーションが積極的に行われます。

しかし、女子中高生がエネルギッシュにプロモーションをするため、限度を超えることがあります。文化祭実行委員がみて限度を越していると判断されると、数時間の営業停止命令がくだされます。コンプライアンスの実践も求められているのです。

最終的には、決算・株主総会を行います。あがった利益は、発展途上国の教育基金への寄付、東日本大震災復興支援などに活用しています。社会貢献につなげている点も非常に素晴らしい取り組みだといえるでしょう。

これにより生まれた商品が、その後、正式に発売され一定の売上になっているものも存在します。この一連のプロセスは、企業のマーケティングのあり方を見直す1つのアプローチともいえます。

求められる新規事業・新商品開発能力

最近、さまざまな組織からリアルな新規事業・新商品開発の支援を求める声や、アントレプレナー育成の要望が増えてきています。

私がお手伝いしている企業では、毎年5~6の新規事業のビジネスプランを作成し、役員へプレゼンテーションをして「Go」or「Not go」の判断をするというプログラムを実施しています。そのプランの採用率は80~100%の確率であり、実際のビジネスにつながっています。

ビジネス界での実践を中高校時代に体験させるというのは、非常に素晴らしい試みだといえるでしょう。「次世代を担う人材育成」をこれからもぜひ継続していただきたいと思いました。

現状の枠組みにとらわれない発想力とステークホルダーとの関係のなかで、社会を動かし変えていく-。その萌芽を間近に見て、未来のイノベーター達の活躍に期待せずにはいられませんでした。

また、私たちは”価値創造とはなにか”を真に追い求め、勢いのある女子中高生から羨望のまなざしを向けられる「カッコいいオトナ」であり続けたいものですね。

【参考情報】
イノベーションを生み出すトレーニングプログラム  
新規ビジネス立ち上げの実践的スキル習得プログラム
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