2020年2月19・20日、第4回サステナブル・ブランド国際会議2020横浜が開催されました。株式会社ビジネスコンサルタントは、本会議にスポンサーとして参加し、弊社コンサルタントがブレイクアウトセッションに登壇しました。

「サステナブル・ブランド」は、商業活動の未来を作り出すブランド・イノベーターが集う、世界初の持続可能性をテーマとしたグローバルコミュニティです。2006年以来、世界各地で国際会議を開催、メディアとしての情報発信も行っています。2020年のグローバル共通テーマは「Delivering the Good Life (グッド・ライフの実現)」で、世界6都市での国際会議が実施・計画されています。

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ブランドによるサステナビリティへの取り組みの最前線を感じる2日間

開催地・横浜市は、SDGs未来都市としてサステナビリティ推進に力を入れており、会議でも様々なセッションに登壇して存在感を発揮していました。

会議のキーワードは「パーパス」「サイエンスとテクノロジー」「コクリエイション(協創)」そしてそれらを伝える「ストーリーテリング」。そのため、企業のみならず、自治体や官公庁、教育機関、金融機関、NPO/NGO、学生など、幅広いセクターから登壇者・参加者がありました(事前の参加登録者数は3000人超。新型コロナウイルスの影響で、実際の参加者はそれよりも少なくなっていました)。

2日間の開催で、両日とも午前中はプレナリー(基調講演)、午後には様々なブレイクアウトセッションが行われ、スピーカーは200人以上。また、イノベーション・ハブ会場では、スポンサー企業による趣向を凝らした展示や、ステージイベントが行われ、活発な交流が行われました。

イベント全体を通じて実感されたのが、サステナブル経営の射程が変化している、ということ。今回の記事では、数多くの登壇者から、特に印象の強かったお二人のメッセージをご紹介します。

Z世代にとってサステナブルであることとは

1日目の基調講演で最初に登壇したのが、NPO法人UMINARIの代表理事 伊達敬信氏。ごみのない海の実現を目指すUMINARIは、ビーチクリーン(海洋ゴミの清掃活動)事業や、海洋環境に関するエデュケーション事業に取り組んでいます。

講演のテーマは「ジェネレーションZと次世代の経済」。自らもZ世代(1990年代後半から2000年代生まれ)である伊達氏がなぜ海を清掃する取り組みに目覚めたのかが紹介され、サステナビリティがZ世代の価値観や行動の基軸にあることが強くメッセージされました。伊達氏によると、

・Z世代はそれまでの世代のような、市場で提供される価値に対する一方的な受け手とは異なる。Z世代は見えないところで失われる価値や豊かさに目を向ける「コンシャスコンシューマー(意識的な消費者)」であり、社会的課題へ高い関心を持ち、自分たちも参画して価値を再創造していく世代
・Z世代はデジタルツールを使いこなし、いつでもどこでもすぐに他者とつながりを作り、情報を発信し、仲間とのアクションにつなげている。

この世代にとって、サステナブルな地球環境・社会づくりはまさに自分ごと。新しい価値観と行動意欲を持った世代がこれからビジネスの世界にも入ってくることになります。彼らとどんな共創ができるのか?を問われていると感じました。

パタゴニアが自社のビジョンを変えた理由

そしてもう一人、印象強かったのが、2日目最初に登壇されたパタゴニアの経営哲学の責任者、ヴィンセント スタンリー氏です。パタゴニアは、サステナブル経営を体現している会社と評価されていますが、自分たちの経営を表現するのに「Sustainability」という言葉は使いません。代わりに「Responsibility」という表現を用いています。なぜなら、企業活動をしている限り、地球環境に何も負荷を与えないというのは不可能である、という謙虚な姿勢を持ち続けてきたから。ヴィンセント氏の講演のテーマも「Patagonia’s Journey toward Resposibility」というものでした。

オーガニックコットンの導入、ブラックフライデーでのDon’t buy this jacket キャンペーンといった、パタゴニアのレスポンシビリティ向上を目指す旅を特徴づける取り組みを紹介。そして2019年、パタゴニアは自社のミッションを次のように再定義しました。

「私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む」

以前のミッションは、「最高の商品を作り、環境に与える不必要な悪影響を最小限に抑える。そして、ビジネスを手段として環境危機に警鐘を鳴らし、解決に向けて実行する」というものでした。この時点で、普通の企業よりもずっと先を行く考えが反映されています。しかし、このミッションでは、急速に進む地球環境の悪化に効果的にアクションするには足りない、と判断したのだそうです。

サステナビリティはRegenerativeとRestoreへ

サステナブル・ブランドのイベント全体を通じて、「ビジネスが地球環境・社会に与える負荷を最小限に抑える」から、「地球環境と社会を回復する/再生する」へと、サステナブル経営の射程が確実に広がっているトレンドを感じました
もちろん、ビジネスが地球環境や社会に及ぼす負荷の削減は、ゼロを前提に進めなくてはなりません。と同時に、どうやって自分たちだけではなく他社/他者も、よりサステナブルになることを実現できるか。悪化する地球環境、減少する生物多様性、危機的状況の地球温暖化といった問題を、どうしたら回復・再生することができるか。サステナビリティを、イノベーションを起こし、成長へとつなげる切り口としてとらえ、取り組んでいる企業が増えています。

次回は、株式会社ビジネスコンサルタントのコンサルタント、内藤康成が登壇したブレイクアウトセッション「サステナブルブランドへの転換 ~世界で注目される2つの計測およびアセスメントツールを紹介~」についてお伝えします。


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