逆境に強い人・弱い人

あなたは、失敗してもすぐに立ち直ることができますか? それとも、くよくよ悩んで後ろ向きになってしまいますか?

私は以前まで後者でした。会社の上司から、

  • 「もっとやれるよ!」
  • 「失敗してもいいじゃないか!」
  • 「チャレンジすることが大事だ!」

などと言われても、すぐに感情を切り替えることができなかったのです。私の内面には、期待に応えてチャレンジしたいと思う自分がいる一方、躊躇してしまう自分も存在していたのです。

もしあなたが、くよくよ悩んでしまうタイプであれば、きっと次のように考えていることでしょう。

  • 失敗するのは怖いし、落ち込んで嫌な気分になる
  • うまくいかなかったら、自分の評価が下がるのではないかと不安になる
  • この先ずっと立ち直れないのではないかと思い、そんな危ない橋を渡るくらいなら無難に……

どうすれば失敗を恐れずにチャレンジできる人間になれるでしょうか? また、そういった人材を育てる方法は? キーワードは「レジリエンス」です。

「レジリエンス」とは

レジリエンスとは「回復力」「復活力」という意味の言葉で、「厳しい環境にあってもへこたれず、立ち上がって成果を出せる力」のことです。レジリエンスは、先天的な資質ではなく、学習によって習得し、さらに高めることができると言われています。

誰もが「ネガティブの達人」!?

私たちの内面には、困難な課題に直面したとき「うまくいかないかもしれない」「失敗するかもしれない」というネガティブな感情が沸き起こります。心臓がどきどきしたり、嫌な汗をかいたりして、身体にも心にもストレスがかかります。

ただ、ネガティブな感情そのものが悪いわけではありません。ネガティブな感情は、リスクを回避するための重要な能力です。たとえば、命の危険を感じた時。ネガティブな感情によって危機を察知し、素早く脱することが可能となるのです。

医学的には、ドーパミンという脳内分泌物が出ることで、呼吸を浅く早くし、脈拍を上げ、血圧を高くするとされています。筋肉力を最大限に発揮できる準備をするのです。視野が狭くなり、意識が集中します。心理的には、何かをしなければいけないという恐怖感と不安を高めます。

私たちの祖先は、この能力によって生き残り、子孫を繁栄させてきました。私たちが今ここにいること。それはネガティブの力によってなのです。つまり私たちはみんな「ネガティブの達人」と言えるでしょう。

ポイントは“ネガティブの連鎖”を止めること

ただ不幸なことに、現代ではストレス状態がすぐには終わりません。太古の昔のように、隠れていても敵は過ぎ去ってくれないのです。目標を達成できてないというストレス状態は、翌日になっても消えることはなく、延々と続きます。

寝ていても、食事していても、持続するネガティブ感情。この状態が長く続けば、身体や心が壊れる原因となってしまうのですね。そこで、レジリエンスを高め、ネガティブ感情からできるだけ早く抜け出せるようにすることが大切なのです。

レジリエンスを高めるには、まず、ネガティブの連鎖を止めることが必要です。ポイントは「ネガティブな出来事をどう自分に説明しているか?」を理解することです。

物事をとらえる3つの要素

たとえば「職場で与えられた目標を達成できない」とき。あなたはその出来事を、どのように自分に対して説明していますか? 次の3つの要素を意識しつつ考えてみてください。

1.内的・外的

  • 内的:原因は自分にある
  • 外的:原因は他人や環境など、自分以外にある

2.永続的・一時的

  • 永続的:その出来事は、いつまでも続く
  • 一時的:その出来事は、一時的なもの

3.普遍的・局所的

  • 普遍的:それはすべての場面において共通すること
  • 局所的:それは特定の場面にのみ起こること

「内的」「永続的」「普遍的」に考えた場合

  • 私の能力が足りないから目標達成ができないんだ・・・
  • 私はいつも上司の期待に応えることができない
  • だから私は何をしてもダメなんだ・・・

→ネガティブ感情の連鎖が起き、失敗を恐れてチャレンジできない。

「外的」「一時的」「局所的」に考えた場合

  • 目標達成ができないのは顧客ターゲット設定の仕方がずれているのかもしれない
  • 今月は目標達成できていないが、このまま頑張れば半年後には達成できているだろう
  • 目標達成はできていないが、企画作成能力は上司も評価してくれている。よし、がんばろう!

→前向きにとらえることで、問題の解決につながる。さらなるチャレンジができる。

出来事のとらえ方を変えよう!

このように、出来事のとらえ方を変えることで、レジリエンスは高められます。自らポジティブなエネルギーを作り出すためにも、人材育成として他者を啓発するためにも、ぜひ物事をとらえる3つの要素を意識してみてください。

いかがでしたでしょうか。レジリエンスは、学習により高められるということを意外に思った方もいらしたかもしれません。同様に、クリエイティビティも先天的なものではなく、学習により高めることができると考えられています。このテーマに興味のある方は、ぜひまずは以下の診断でご自身の「クリエイティブタイプ」を診断し、あなたの思考プロセスを分析してみてください。

伊藤 慎子
関西の大学、大学院で認知心理学を学び、心理学をビジネスで生かすことを目指して(株)ビジネスコンサルタントに入社。 現在はコーディネータコンサルタントとして人材育成、組織開発のコンサルティングに従事。ポジティブ心理学を多くの人たちに広めて日本を元気にしたいと邁進中。 全国47都道府県すべてに出張した経験があり、その土地のおいしいものを食べるのが仕事の合間の息抜き。一番好きなご当地名物は名古屋のあんかけパスタ。