あなたは仕事をやり切った時にガッツポーズをしていますか?最後にガッツポーズをしたのはいつですか。私はつい最近ガッツポーズをしました。1年半かけて開発した新製品がリリースされ、お陰様で公的な賞を2つ受賞したのです。当社のビジョンを実現する新たなサービス領域を切り開くための新製品であり、ゲーミフィケーションという新しい手法を取り入れた、チャレンジングな取り組みでした。多くの人々のサポートを頂くことで、困難を乗り越え、完成。最初から設定した目標が高く、困難が多くあったからこそ達成した時に思わずガッツポーズがでたのだと思います。

こんな話を最初にご紹介したのは、今回のテーマである「エンゲージメント」に、仕事への達成感や組織のビジョンを意識できているかどうか、が大きく関わるからです。

企業業績に深い関係!エンゲージメントとは

エンゲージメントとは、「組織がめざしているものと個人がめざしているものが同一になっている状態」をいいます。エンゲージメントまた、エンゲージメントが高い状態とは、「この組織にいれば、自分のありたい姿に向かって成長できる。そして、自己実現のための努力が組織のビジョン実現にも貢献している」という実感がある状態を指すと言われています。
エンゲージメントと、企業業績との相関性が、様々な研究から明らかになっており、日本企業でも注目が高まっています。米国の調査会社ギャラップ社によれば、日本企業ではかなりエンゲージメントが低下している状況もうかがわれます(※参照)。
先月、私のクライアントにおいて2社、エンゲージメントに関する全社員アンケートを実施しました。実はエンゲージメントに関する研究は海外のものが大半です。せっかくの機会なので、定義通りの結果になるのか検証してみることにしました。

アンケートを実施した2社は、業種、社員数、地域、社員構成(社員化比率)は全く異なります。

A社:産業部品メーカーで社員数は約8,000
B社:生活用品を扱う流通業で社員数は約1,500

アンケート内容:それぞれの会社オリジナルに作成、そのため質問数、内容などは基本的に異なる。設問項目としては人事制度や処遇、業務プロセスや役割分担、各種会議の運営、ビジョンの理解、ビジョンと業務のつながり、上司の日常のマネジメント、仕事の魅力、部門間連携など多岐にわたっている。

アンケート調査の分析結果はエンゲージメントの定義通り

両社とも、アンケート分析においては「仕事に対する総合満足度」「会社に対する総合満足度」を結果指標(説明変数)とし、それ以外の設問との相関係数を出しました。

結果としては「ビジョンと業務のつながり」「仕事の魅力」「ミッション・ビジョンへの誇りや魅力」「経営リーダーシップへの信頼」といった因子が、相関係数の高い結果となりました。
「仕事の魅力」については仕事への情熱、仕事への誇り、仕事への満足度、仕事の結果への達成感、成長の実感といった内容が含まれています。この中でも特に業務を通して成長できているという実感が得られることが重要であることも確認できました。次の図ではB社の「会社に対する総合満足度」に対してプラスの相関の高かった因子の一部を抜粋して表記しています。

なお、いずれの組織でも、アンケートには労働条件・人事制度や処遇、PCなどの業務支援ツールの充実、部門間連携といった項目が含まれていました。しかしこれらは、会社に対する総合満足度との相関は見られませんでした。
すなわち、エンゲージメントの定義通り、今回アンケート調査を実施した2社において、組織が目指すものと個人が目指すものが同一で、成長を実感できているとエンゲージメントが高まると考えてよいでしょう。エンゲージメント向上要因

メンバーのエンゲージメントを高める①:組織のビジョンを当たり前に

今更繰り返すまでもないことですが、やはり、ビジョンを認識できているか、自社のビジョンに誇りを持てているかはエンゲージメントに大きく関わる要素です。
GBGPでは繰り返しメッセージしていること(こちらの記事をどうぞ)ですが、メンバーが会社のビジョンと自分の業務とのつながりを意識できるよう橋渡しすることが、エンゲージメントを高める上でのマネジャーの重要な役割その1です。
煉瓦積みをしている人に質問をする逸話は有名です。一人目は「レンガを積んでいる」と作業内容を答えました。二人目は「塀を作っている」と作業目的を答えました。三人目は「これは将来教会になり、多くの人が祈りをささげる場を作っている」という貢献目標を答えました。簡単なことではないですが、この3人目の状態が目指すところです。

メンバーのエンゲージメントを高める②:今の仕事をどう見るか、にアプローチする

同じ業務でも、「どのような見方をするか」によって大きく意味合いが変わります。メンバー自身のなりたい姿と、今の仕事に接点を見いだせるよう働きかけることが、エンゲージメントを高める上でのマネジャーの重要な役割その2です。
メンバーのなりたい姿を不用意に聞いたら、そういう仕事を提供しないといけなくなる、我が社にはそんな余裕も仕組みもないからかえって不満を高めることになってしまうのでは…そういう懸念を抱く方もいらっしゃるかもしれません。
どんな組織でもそう簡単に仕事そのものを変えることはできないでしょう。また、仕事を変えるだけでメンバーの不満が即座に解決するとも思えません。仕事に対する見方が変わらなければ、いずれ同じような不満を抱え、エンゲージメントの低下を招くことになります。

そもそも部下が自分のなりたい姿を考えていないという段階だという場合は、部下自身の強みに注目するところから始めてみましょう。その際に役立てられるツールとしてはVIA(ヴィア)という診断ツールがあります。(こちらについては改めて詳しくご紹介します)

メンバーのエンゲージメントを高める③目標の高さは十分にチャレンジングか?

以前にもご紹介をしたチクセントミハイ博士によれば、チャレンジとスキルのバランスが、フロー状態(我も忘れるほどの集中状態)を作り出すと言います。
目標による管理を導入している組織でしばしば窺う残念な状況は、「目標達成率を考慮して、最初から低い目標を設定する」というものです。これでは、たとえ目標達成をしてもガッツポーズには程遠く、成長感も得ることができず、エンゲージメントの向上につながりません(チャレンジングな目標設定の重要性についてはこちらの記事もどうぞ)。マネジャーの役割その3は、メンバーがフローな状態になれるようなチャレンジとスキルのバランスが取れるような目標を一緒に考えることと言えます。

 エンゲージメント向上には、組織のビジョンと個人の成長感の両方が重要です。GBGPでは引き続き、仕事を楽しみ、エンゲージメントが高まる組織づくりのヒントをご紹介していきます。

(※参照)
日本経済新聞社HPより(2017年5月26日記事) https://www.nikkei.com/article/DGXLZO16873820W7A520C1TJ1000/


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笠井 崇
1988年入社。現在、テクニカル・ディレクターとしてコンテンツ開発、マテリアル開発の責任者を兼務。コンサルタントとしての専門領域は経営人材育成研修(社内ビジネススクール)、事業戦略、ビジネスモデルイノベーションに関する研修講師、サステナブル戦略、バックキャスティング経営に関する研修やコンサルテーションを担当。2015年国際NGO団体 The Natural Stepの認定トレーナーを取得。