先日、「横浜自然観察の森」という700haの広大な緑地へ行ってきました。

東京からは電車とバスを乗り継いで約1時間半位のところにあります。横浜市のなかにこんな大きな森があることにとても驚きました。あいにくの雨でしたが、鳥のさえずりや、土草の匂いなどを思いっきり感じ、五感を解放できたような気がしました。

アメリカの会議に参加していたときに、たまたま空港で放送されていたCNNテレビ(CNN)で小学校の授業に五感を活用する授業が導入されていることが取り上げられていたことを思い出しました。

「mindfulness(心を込めて)」という表現で紹介されていました。

たとえば、自分の呼吸に意識を集中させてみるとか、食事を十分に味わってゆっくり食べてみるとか、そういったことを授業で教えているそうです。これによってADHD(注意欠陥多動性障害)などが減ったともいっていました。

日々の仕事では、効率や速さをついつい優先してしまい、「心を込める」ことをしないで進めてしまうことがあります。

しかし、一度立ち止まって深呼吸しながら、自分自身や自分の周りで起こっていることに気をとめてみると、見落としていたことに気づくことができるかもしれませんね。

さて、今回は「変わりたいのに変われない、本当の理由(1)」の続きとして、自己成長のポイントをご紹介します。

何から変えてみるか、それが問題

前回は、「変わりたいと思ってもなかなか変われないときにその状況を以下の4つで分析し、裏の目標に気づくことの大切さ」をご紹介しました。

  1. 改善目標
  2. 阻害行動
  3. 裏の目標
  4. 強固な固定概念

それでは、その裏の目標やそれを達成するための阻害行動を変えて行くためには、どうしたら良いのでしょうか。

最近、私の知り合いで、「少しずつ仕事に主体性をもって取り組むことができてきた」という方がいるのでご紹介したいと思います。

その方は社内の研修会の事務局を担当しているのですが、その仕事に楽しさを感じないという相談を受けました。

詳しくお話を聞いてみました。

その方は、研修参加者の調整や、研修会の通達、当日の運営を担当しているのですが、全ての仕事を決められたオペレーションとしてマニュアル通りに進めていました。

その話を聞いていくと、以下のようなことが明らかになりました。

  • (改善目標) 仕事を楽しくしたい
  • (阻害行動) マニュアル通りに仕事を進める
  • (裏の目標) 怒られたくない 失敗したくない
  • (強固な固定概念) 上司は頭が固いので、マニュアルと違うことをしたら怒られる

そこで、一緒に何か変えられることがないか考えてみました。

私は当事者でもなく楽観的な性格でもあるので、思いつくままにいろいろとアイデアを出してみたのですが、どれも難しいといわれてしまいました。

結局、その方が決めたのは、次の挑戦です。

「研修会の受付で参加者へ笑顔であいさつをしながら、書類を手渡しする」

もしかしたら、挑戦というには小さすぎる行動と思われるかもしれません。しかし、2カ月後にお会いした際、実践したことを嬉しそうに話してくれました。

それは、研修参加した方々の驚くような変化のお話しでした。

研修参加者の皆さんは、いつもは、席につくなり仕事の電話をしたり、パソコンで仕事をしたりして、話をすることはほとんどなかったそうです。しかし、ここ2カ月間の研修会では、隣同士で雑談する人が出てきたとのこと。そしてそれによって、研修授業が始まる前から、会場の雰囲気が穏やかになったそうです。

この方は、それに気づいたとき、とても嬉しかったと言っていました。その方が、「今度はどんなことに挑戦しようかな?」と考えている姿が非常に楽しそうで、印象に残りました。この方は、これからどんどん変化して成長していくのだろうなと感じました。

ここには、何かを変えるときに必要で重要な原則が隠されています。

Baby Stepではじめましょう!

前回も引用したロバート・ケーガンは、変えるべきことが何かに気づいたら、

  • 阻害行動を改める
  • 裏の目標に反する行動をとる

というように、具体的に行動を変えることが必要だと伝えています。また、それと同時に、「SMART」の原則にしたがって変えるべきだといっています。

「SMART」と聞くと、私は目標設定時に大切にする、

  1. Specific(具体的に)
  2. Measurable(測定可能な)
  3. Achievable(達成可能な)
  4. Related(経営目標に関連した)
  5. Time-bound(時間制約がある)

を思い浮かべてしまうのですが、ここでは違います。

  • Safe(安全で)
  • Modest(ささやかな)

つまりは、「小規模に試してみることができること」

  • Actionable(実行可能な)

「比較的簡単で、日常で実行可能なこと」を意識して目標をたてる

  • Research(リサーチ)
  • Test(テスト)

「調べてみて、そして試行してみること」によって、改善に役立つ情報を集めようというものです。

私は、お正月に立てる誓いや、今年度こそと思った目標などで「いつもとは違った自分になる」と意気込んで、思い切って大胆な目標を立ててしまいます。

しかし、それは、ちょっと間違っていたことだったのです。

なぜならば、目標が大きすぎて、挑戦しても結果がついてきていないような気がしてしまい、継続的な実践行動に結びつかないからです。特に、強固な自己概念を変えるような行動を試してみるには、「Baby Step(小さな一歩)」で始めるというのが良いということですね。

ポジティブな変化に注目し、自信をつける

先にご紹介した知人が、行動を変化させ成長に結びつけられた要因には、もう1つ大きなポイントがあります。
それは、取り組んだ結果、どのような変化が起こったかを短期間で振り返ってみて、それをポジティブな面に注目して語っていた点です。

リフレクションや振り返りというと、できないことに対してついつい着目しがちになり、そして、これから頑張ります!といったようなものが多くなってしまいます

しかし、これでは「自分はできていない」「変われていない」とネガティブな自己暗示をかけているようなものです。

もちろん、できなかったことに注目することは大切です。しかし、どれだけ小さなことであっても、できたことや変わったことに注目することで、「変化して成長している自分」を感じることができるようになります。そしてこれは、自信をつけて継続的な行動につなげるために、とても大切なのです。

そして、このように小さな変化をつかむには、振り返りは短期間で実行することが有効です。

SMARTのSMAの目標を立てて、RT(リサーチ&テスト)で実行してみたら、その後はバランスよく振り返りができるように、以下のようなステップを試してみてはいかがでしょうか?

  1. 取り組んでみたこと、心がけてみたこと
  2. 気づいたこと、感じたこと
  3. 自分を褒められる点、周りに謝りたい点
  4. 今後に生かしたい発見

こうすることで、何か新しいことに気づき、成長につながる自信につなげられるかもしれません。

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廣瀬 沙織
東京工業大学大学院 社会理工学研究科 修士課程修了/ 一般社団法人日本ポジティブ心理学協会 理事。 株式会社ビジネスコンサルタントにて営業マネジャー職を担当。その後、同社における顧客組織の組織開発と人材開発への投資効果と投資効率を最大限に高めるための会員制サービスの商品戦略を担当。現在は同社の研究開発マネジャーとして、サステナブル社会の実現のため、ポジティブ心理学やイノベーション理論、自然科学ベースの戦略策定フレームワークに基づく商品開発およびその実践を担当。