私たちが社内で企画・実施した「サスティナビリティを自分ごと化する」ための視察ツアーについてご紹介するシリーズ4回目をお届けします。

ツアー2日目午前は、特定認定NPO環境パートナーシップ岩手の代表理事野澤日出夫さんと、事務局長櫻井則彰さんにセミナーを実施いただきました(前編はこちら)。

遊びに集中する子供の姿から感じた、私たち大人のすべきこととは

2時間半のセミナーの間、子どもたちはというと、ずっとセミナースペースの隣で遊びに集中し続けてくれました。環境パートナーシップ岩手では、木のおもちゃ、エネルギーについて学べる様々な仕掛け、自然の素材を使った工作など、子どもたちが自由に楽しめるようなフロアになっています。おかげで、子ども連れの社員たちもほとんど中座することなくセミナーに参加できました。

環境パートナシップ岩手
環境パートナーシップ岩手

そして、夢中になって遊ぶ子供の姿を片目に見ながら、櫻井さん、野澤さんのレクチャーを聞いていると、企業人である前に良い市民でありたい、そんな気持ちが自然とわいてきます。「勉強」だなんて思わずに、遊びを通じて自然やエネルギーについて学んでいるこの子どもたちが大人になるとき、どんな世界になっているのが、何を残せるのか。今アクションしないといけないと感じさせられます。

サスティナビリティに必要なバックキャストの視点

野澤さんがお話の中で示してくださった大事なメッセージの一つ。それは、以前から私たちがお伝えしている、フォアキャストとバックキャストの違いでした。(フォアキャストとバックキャスト、解説記事はこちら

前回の記事でご紹介したパリ協定での合意内容。これを受けて、欧州各国、アジアでは中国やインドが、内燃系エンジンからの脱却を明言しています。しかし、野澤さんによれば、
「日本の温暖化防止策は、過去のデータや現在取り組んでいる社会の仕組みをベースにCO2削減に取り組もうとしているもの」つまり、現状の延長線上の目標と計画しか持たない、フォアキャスティングというべきものです。

一方で、と野澤さんが続けてお話しされのは、
「小岩井農場は、100年後にこうなりたい(環境保全・持続型・循環型)という姿を掲げ、そこを目指して今の取り組みをしている」
つまり小岩井農場の経営は、バックキャスティングな判断基準を取り入れてきたことで100年を超えて続いており、今も現在進行形で進んでいるのだということ。

前日に小岩井農場の様々な取り組みを見学させていただいており、なおのこと私たちは、このメッセージに強く引き付けられました。
サスティナビリティは一朝一夕には達成できない、だからこそ、バックキャストなビジョンの力を借りて、関わる人たちをインスパイアし、地道な積み重ねとイノベーションを引き出す必要があるのだと再認識しました

野澤さんが教えてくれた、実践的なシステム思考

ところで、農場の獣医師というと、牛たちの病気を治すことが仕事では?と思ってしまいますが、野澤さんが小岩井農場で取り組まれたことや、現在も持ち続けられている問題意識は非常に広範囲。いったいなぜ?と思い、お聞きしてみました。

「私は最初獣医師師として小岩井農場に入りました。私は育種改良部門に所属していましたが、獣医師師として、最初は病気の治療だけになりがちです。しかし発病した牛を治療するだけではなくて、「なんで病気がおこったのか」という考え方をするようになるわけです。そうすると、牛舎内の衛生状態はどうなっているのか、食べている餌はこれでいいのか。小岩井で生産した餌なら、ちゃんとした栄養成分になっているのか調べ、飼料畑の土壌の状態はどうなのか、土壌改良の方法など、考える対象がどんどん広がります。建物にしても、牛のストレスを少なくする構造をどうしたらいいのか考え、建築のことまである程度知識が無いといけないんじゃないかと。酪農部長の時には、酪農部門で農機具を買う時にも、自ら試運転したり、新しく買った機械でも、もっと効率を上げる方策は無いかを考えて、新しいうちから改造しました。会社経営は国の支援が無くて、一般農家と比べ経営的にはシビアでしたけれど、そういう工夫改善の中で経営的に安定したものになりました。その経過は大変だったけれど、楽しかったですよ。効果がいろんなところに出てきましたから。」(野澤さん)

獣医師として目の前の病気を治療するということに役割や視点を限定しない、野澤さんのあり方は、「サスティナビリティの問題を解決するためには、さまざまな要素同士のつながりを意識して、システムとしてとらえ、全体像で見ることが大事」という思考態度そのもの。野澤さんは終始穏やかな口調でお話し下さる方ですが、私がお話を通じて感じたのは、100年前の創業者らが掲げたビジョンを受け継ぎ、今を担っているという強い覚悟、自負心のようなものを持って、経営に臨まれていたのであろうということ。

環境パートナーシップ岩手
左:櫻井さん 右:野澤さん

目の前ではサスティナビリティと経済性とのバランスを取り一つ一つ課題をクリアする。でも大局では、130年前の創設者らが描いた、「環境保全・持続型・循環型」の農場経営というありたい姿を置き、そこからのバックキャストで今の活動をチェックする

小岩井農場の視察の際、私たちをガイドしてくださった社員の方々にも、そのDNAは受け継がれているように感じたことを、思い出しました。

視察を単発のイベントで終わらせないために

視察は、実施後がやはり大事です。スポンサーである経営幹部への報告、そして次なる動きを出していくなど、活動自体をサスティナブルにすることを目指します。
私たちの会社では、ツアーでの学びの報告の結果に対して、経営幹部に価値を感じていただくことができ、こうした取り組みを拡大しようと活動が続いています。一つには、ツアーに参加したメンバーが主体となって、社員とその家族がSDGsやサスティナビリティへの学びを深めるイベントを開催しました。その様子は、弊社のWEBサイトでもご紹介しております。ぜひこちらのページもご覧ください(㈱ビジネスコンサルタントのWEBサイトにリンクします)。お問い合わせも、お気軽にどうぞ。

SDGsGOAL17

私たちの学びに快くご協力くださった、小岩井農牧株式会社、特定認定NPO環境パートナシップ岩手の皆様、どうもありがとうございました。サスティナブルな社会づくり、ビジネスづくりの先駆者の皆さんからいただいた刺激をエネルギーに変えて、私たちも取り組みを広げていきたいと思います。


サスティナビリティの自分ごと化に!ぜひお試しください。

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