日本語で「革新」や「刷新」などと訳される“イノベーション”。世界で活躍するトップ企業は、このイノベーションを次々に起こしているとされています。もっとも、イノベーションは必ずしも全社的な営みから生まれるものではありません。個人単位でも、革新的なアイデアを創出することはできるのです。事実、画期的な商品が一つのチームや個人から生まれたという事例は少なくありません。 では、私たちがイノベーション起こしたいと思った場合、どうすればいいのでしょうか。新商品や新事業の開発においてイノベーションを起こすためには、まず、自分の思考パターンを知る必要があります。人間の思考は、その人の持つ世界観に左右されるため、自分の思考パターンの特徴を知り、発想の限界を越えるようにしむける必要があります。

2つの思考パターン

地理学者の鈴木秀夫さんは、専門分野のみならず、自然環境とそれに関連した人間生活や文明の比較についても多くの著作を残しています。そのうちの一つに『森林の思考・砂漠の思考』という著書があります。その概要は、「人間の世界観はたくさんあるが、大きくは二つに分けることができる。日本文化は“森林的性格”を持ち、その対極として“砂漠的思考”という世界観がある」というもの。気候は変化するし文化も伝播するので、砂漠地帯に住む人々が砂漠的思考をもち、森林地帯に住む人々が必ずしも森林的性格を持つわけではないそうですが、詳細は同著にゆずりたいと思います。

砂漠的性格と森林的性格

砂漠的性格と森林的性格には、それぞれ次のような特徴があるとされています。

1.砂漠的性格の思考パターン

「砂漠では、物事をはっきり分ける」。それが、砂漠的性格の原点です。たとえば砂漠では、この道が水場に至る道なのか、そうでないのかを正しい道を選択しなければ、最悪の場合死んでしまいます。だからこそ、正しい道以外は間違いであると考え、二者択一的に断定してしまう。これが砂漠的性格の思考パターンです。白黒はっきりさせる思考法と言えるでしょう。

2.森林的性格の思考パターン

一方森林では、道に迷った結果、よりよい水場にたどり着くこともあります。この場合、もとの水場へ行こうとしていた道が正しいとも言えるし、迷った道も正しいと言えるのです。このことから、正しいか間違いかはっきり分けられないという性格の思考が森林的性格の思考パターンとされています。灰色の濃いのが黒であり、灰色の薄いのが白だという、白黒はっきりできない思考パターンと言えます。

思考パターンを使い分けよう!

アイディアを出している時に、砂漠的思考で「これは良いアイディア」「悪いアイディア」と即座に判断してアイディアの数を増やせなかったり、「これは役に立つ」「これは役に立たない」と試す前から判断するようでは、イノベーションを起こすことはできません。可能性の芽は、白黒つけられない微妙な判断から生まれることもあるのです。また、いざ実行という時になって、「まてよ、あの違うアイディアも良かったかも」と森林的思考で変革・開発スピードに水を差してしまってもいけません。スムーズな実行力がなければ、いつまで経ってもアイデアはアイデアのままとなってしまいます。  いずれにしても、どちらの思考パターンも状況に応じて使い分けることが大切です。あなたはどちらの傾向が強いですか? 状況に応じて思考パターンを切り替えられるように、自分の思考パターンへの気づきを深めましょう。

本ブログでは2つの思考パターンについてご紹介しました。イノベーションを起こすために、クリエイティビティが必要だという問題意識をお持ちの方は多いと思います。それに関連して、「クリエイティブタイプ」診断をご案内します。 「クリエイティブとは何か」に関する視点は人それぞれですが、ここでは6つのクリエイティビティを定義し、あなたの思考プロセスを分析します。 ご興味のある方は下記よりダウンロードし、ご自身の「クリエイティブタイプ」をぜひ診断してみてください。

東野 司
大学卒業後、株式会社ビジネスコンサルタントに営業として入社。営業部責任者を経てコンサルタント部門移籍。2013年フェロー役員就任。専門領域は、イノベーションプログラム。プロダクトやプロセスなどのイノベーションを促進するためのコンサルティングとトレーニングのプログラム責任者を務める。一部上場から中小企業まで、幅広い業界でイノベーションのアイディアをリアルに案出し、実践するプロセスの支援を行っている。