先月、名古屋でユネスコが主催するESD国際会議(*1)が開催されました。その閣僚級会議を遠隔でオブザーブする機会を頂きました。日本からは下村博文文部科学大臣が参加し、他150の国からESDを推進する代表者76名でおこなわれる会議だったのですが、非常に驚いたのはその会議の進め方です。

  1. 議長がテーマを出す
  2. それについて話したい人が手を挙げ、それをリスト化する
  3. リストに基づいて、議長が指名する
  4. 指名された人は5分以内で話をする

これを繰り返すだけなのです。
会議の参加者が多いためこの会議手法になったのだと思いますが、私は「会議」といえば、話し合いをする場であると認識していましたので、非常に驚きました。参加者の人数やその目的によって、会議の開き方は本当に多様なのだと感じました。

皆さんは、「会議」と聞くとどんな場を思い浮かべますか?
ワクワクしますか?億劫だな〜と思いますか?
今回は、「あの会議、よかったね」と思える会議の進め方について考えていきます。

会議中、何に意識を向けていますか?

会議について考えていると、私自身がBConに入社しようと思ったキッカケに行き当たりました。随分前の話になりますが、BConの採用過程でグループ討議とその内容を発表するというセッションがありました。当時、いくつもの企業で同じような採用試験を受ける中、その時のBConスタッフからの言葉が私は今でも忘れられません。

それでは、みなさん思い返してください。先ほどの討議に満足していますか?討議の結果ではなく、その進め方について振り返ってみてください。

私はてっきり、グループ討議の結果が如何に優れているのか、もしくは期待に添えていないのかをBConスタッフからコメントされるものだと予想していたので、予想に反したその言葉に驚きました。周囲を見回すと他の応募者もその言葉を聞いて困惑した表情を浮かべていました。そして、BConスタッフから次のようなコメントが続きました。

討議中、何に集中していましたか?一緒に考える仲間の意見は聞けていましたか?発言が少ない方の意見を聞いてみようという働きかけはできていましたか?

この言葉を受け止め、討議中の自分を振り返り、私はショックを受けたことを覚えています。それは、如何に自分が「自分のこと」「OUTPUTのこと」だけに気持ちを集中させていたかを気づいたからです。人が発言している間、次に自分が何を言うかということしか考えていなかったのです・・・。

続けて、次のようなコメントがありました。

多くの企業では、戦略など会議で決めたのに実行されないことが沢山あります。その理由は、実行する人が決定時に参画していないために起きる事なのです。BConは、そのような効率を求めて効果的でない会議を改善するために仕事をしています。

私は、企業概要をみても良く分からなかったBConという会社の事業が、このグループ討議で体験的に理解できた上に、「今後自分がグループの中で活動する時に何を考えないといけないのか」気づかせてくれたこの出来事に、今でも心から感謝しています。

仕事を楽にするための会議の方法

「あ〜、また会議か・・・」と溜息をついてしまうような会議はありませんか?
「この会議、なんだか違和感があるなー」という状況を心理学者のルドルフ・シュタイナーは「プロセス・ロス」と呼んで次のような公式で表現化しています。

実際の生産性=潜在的な生産性−プロセス・ロス+グループ・プロセスによるシナジー効果

プロセス・ロスとは、具体的には次のようなことを意味するそうです。

  • 関係するメンバーの参加度合いがとても低く、本当に大切な意見やアイディアを出す機会がなくなっている。
  • それによって、メンバーのモチベーションが低い状態になってしまう。
  • メンバー間のコミュニケーションがスムーズにいかないことから、会議の目標や手順がきちんと共有されないことで、どこかにズレが生じたまま課題が遂行され、問題が大きくなってから発覚する。

こうしたことを解決せずそのまま放置されてしまうと、全体として生産性が下がってしまいます。会議と言う無駄な時間を過ごしただけで、シナジー効果なども期待することもできません。本来なら、実のある会議を行うことで、生産性が高まり仕事も楽になるはずなのです。

会議で成果を出す企業、出せない企業の違いは?

このプロセス・ロスをどうしたら最小化することができるのでしょうか?
1つは、会議中に参加者が感じていることを表面化させることです。

  • 会議に集中できていたか?
  • 会議の雰囲気についてどう感じていたか?
  • 自分の意見や考えを取り上げて貰えていたか?

などといった、会議で話し合われている内容ではなく、その場にいる参加者の感情面を取り上げる問いかけをしてみることです。
そのようなことは、効率的ではないと思ってしまうかもしれませんが、実際はこれが、会議時間を無駄にせずに会議の成果を参加者の行動に結びつける近道なのです。

会議中に意識を向ける焦点は、次の割合が良いと言われています。

話し合われている内容 → 70%
話し合いに参画している状況 → 30%

とはいえ、会議中にその場の会議の雰囲気を明らかにする問いかけをすることは、なかなか難しいものです。その場合、アンケートなどをあらかじめ用意しておいて、会議の休憩の時などに確認することも有効だと言われています。

会議の開き方や進め方にはいくつもの方法はありますが、必ず考慮しなければならないことは、生産的な会議の場をつくっていくことです。会議主催者は、プロセス・ロスを最小化するための努力を怠ってはなりません。生産性の高い議論の場づくりを意識することが、しいては職場の生産性を上げる事にも繋がっていくからです。

(*1):ESDとはEducation for Sustainable Developmentの略で、環境、貧困、人権、平和、開発といった様々な課題を自分ごととして捉え、身近なところから取り組むことを目的とした教育のことです。

いかがでしたでしょうか?貴社の会議の生産性向上の参考になりましたら幸いです。 会議の生産性向上については、様々なお悩みをお持ちの方が多いと思います。その一つが、アイディアが出ない、ということではないでしょうか。「クリエイティビティ」は学習可能な能力です。ご興味のある方はまずはぜひご自身の「クリエイティブタイプ」を診断してみてください。

廣瀬 沙織
東京工業大学大学院 社会理工学研究科 修士課程修了/ 一般社団法人日本ポジティブ心理学協会 理事。 株式会社ビジネスコンサルタントにて営業マネジャー職を担当。その後、同社における顧客組織の組織開発と人材開発への投資効果と投資効率を最大限に高めるための会員制サービスの商品戦略を担当。現在は同社の研究開発マネジャーとして、サステナブル社会の実現のため、ポジティブ心理学やイノベーション理論、自然科学ベースの戦略策定フレームワークに基づく商品開発およびその実践を担当。