Good Business Good Peopleにて以前にもご紹介したことのある、ミシガン大学キム・キャメロン博士に、私たちがこのコロナ危機を乗り越えるための、視点を変えたアプローチを教えて頂きました。キャメロン博士の専門である、ポジティブ組織論のエビデンスをもとにしたメッセージです。

Prof.KimCameron
キャメロン博士(2017年来日時)

【キム・キャメロン博士】ミシガン大学にてポジティブ組織論の教鞭をとる。ポジティブ組織論は、ポジティブ心理学の知見をベースに、組織のパフォーマンス向上につながる組織マネジメントやリーダーシップについて研究する領域です。当WEBサイトではこちらのシリーズ記事「リーダーシップを科学する_ポジティブリーダーシップで本当に豊かな組織づくりを①」で、キャメロン博士の来日講演の内容をお伝えしています。

Good Business Good Peopleでは、
弊社がこれまでご縁をいただいている国内外の専門家の方々に、
新型コロナウイルスがもたらす困難や不安、変化にどう対処し、
どのような未来に備えるべきかを考えるヒントを伺いました。
これからシリーズでお届けします。

「感謝」による新型コロナウイルス危機への対処

ソーシャルメディアは、新型コロナウイルス感染防止のロックダウンが生じさせる不安やストレス、懸念への対処方法についてのアドバイスにあふれています。ウイルスの拡散を防止し、弱い立場にいる人びとを保護し、過重な負担のかかっている医療従事者や医療施設に、防護服などの医療物資や医療機器を提供することは、極めて重要な対策です。
私たちはこの危機へ緊急に対応する必要があります。それと同時に、COVID-19のパンデミックに対処する、もう1つの選択肢を検討することも可能でしょう。

私たちが見逃している「勝利」とは

それは次のようなことです。このような時だからこそ、世の中がうまくいっていることに気づく、つまり私たちがつい当たり前だと捉えがちな「勝利」について考えてみませんか。すべてが順調で、人生が計画通りに進んでいるときに満足するのは簡単です。それを受け入れることが当たり前になり、その安易さはしばしば自己満足を生みだします。
その一方で、予測不可能であいまいな状況が、日々私たちを取り巻く数えきれないほどの「よい事」を確認する時間を提供してくれています。困難な時に感謝の気持ちに気づき、それを伝えることは、賢明だというだけでなく、健全なことでもあります。いくつかの調査研究がその理由を説明しています。

感謝は心身の健康をもたらす

ある研究では、大学のクラスの学生の半数に、毎日感謝していることを3つ日記に書くことを課しました。残りの半分の学生は、1日の間に遭遇した出来事や問題を3つ書くことになっていました。 そして、学期末にいくつかのテストが行われました。
すべての学生にインフルエンザの予防接種が行われました。一週間後、感謝の日記をつけている学生は、他の学生よりも多くの抗体を持っていました。感謝の日記をつけた学生は、1週間で検出可能なほど健康になっていたのです。
学生には、モノを記憶し、テストを受けてもらうメンタルテストを実施しました。感謝の日記をつけた学生は、これらの課題の得点が他の学生よりも統計的に優位に高い結果となりました。
さらに学生には創造性の課題が与えられました。例えば、レンガやピンポン玉を使った用途をどれだけ考えられるか?というものです。ここでも、感謝の気持ちを持っている学生とそうでない学生の間には、有意に大きな差がありました。

心臓疾患を抱える人びとを対象とした別の研究では、半数が8週間感謝の日記をつけるように割り振られ、残りの半数は感謝の日記をつけませんでした。 8週間目の終わりに、感謝の日記をつけた患者らは、心臓の健康状態の悪化が少ないだけでなく、エビデンスとして心臓の健康状態の実質的な改善が示されました。

さらに別の研究では、風邪ウイルス(ライノウイルス)にさらされた人は、毎日感謝の気持ちを持っている状態にした場合、ウイルスに屈して風邪をひく頻度が他の人びとの半分以下になりました。

これらが示唆する大切なポイントは、感謝の気持ちを身につけることで、肉体的にも、感情的にも、精神的にも、より健康になることができるということです。 特にストレスや不安に圧倒されてしまう時代、単純な処方箋は、私たちの周りにある感謝を数えあげることです。感謝する価値のあることが起こっていることに気づくことです。

組織に感謝を広めるには

私が知っている何千人もの従業員がいる組織では、従業員一人ひとりが毎日、感謝の日記をつけるように求められています。

ある著名なCEOは、毎日時間をかけて、組織内のさまざまな社員に感謝の気持ちを表す5つのメモを書いています。

別のCEOは、毎日誰かを積極的に気まずい思いをさせるように社員に指示しました。つまり、その人のことを気にかけている人の前で、褒めるのです。その指示は、他人の行動の何に感謝すべきかに気づくためのものでした。

乳がんと診断され、余命半年と宣告されたある役員と親しくなりました。彼女は、もし人生があと半年しかないのであれば、素晴らしい半年にしようと決心しました。彼女の戦略は、彼女が “完璧な瞬間 “と定義した時間を共に分かち合っている人びとにアプローチすることでした。彼女はそれぞれの人にアプローチし、お互いに共有した完璧な瞬間と自分自身に与えた影響を簡単に伝えました。
彼女の癌は現在寛解しています。そして、この活動は非常にインパクトあるものだったので、今でも彼女は、毎週末に1時間かけて夫とその週の完璧な瞬間を共有しています。

今だからこそ気づきたい、感謝、完璧な瞬間

この危機の中で、感謝を感じたり、完璧な瞬間に気づいたりする機会とはどういったものでしょうか?次のようなものが、考えられそうです:

•家族との関係を新たにしたり、より親密な家族とのつながりに時間を割くチャンス
• 不便でも自己管理を発揮できるチャンス
• 助けが必要な、または不安定な状況にある人を、より具体的に気に掛けるチャンス
• 共同体としての一体感を再生したり愛国心を刷新するチャンス
• 今後の優先順位や計画を見直す機会に
• 長らく停滞していたプロジェクトを自宅でキャッチアップする機会に
• 普段あまり意識していなかった人とオンラインでの再会のチャンス
• 世界の優れた医療・公衆衛生の考え方に触れる機会
• 今後さらに大きな悲劇やトラウマとなる出来事に備えるための備忘録
• 豊富なオンライン教育リソースを知るチャンス

ネガティブ、困難、不便ばかりが気にしてしまう時期においては、「感謝」に焦点をあてることが、危機を乗り切るための最も効果的な方法の一つかもしれませんし、実際により良い状態となる方法かもしれません。(ミシガン大学キム・キャメロン博士のメッセージを、㈱ビジネスコンサルタントが翻訳しました)


キャメロン博士が提唱するポジティブリーダーシップについて、まとめて読めるeBookはこちらです。

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【世界の専門家に聞くwithコロナ/afterコロナ】
②afterコロナに存在意義を示せるビジネスであるために byマーティン・リッチ氏(Future-Fit財団共同設立者・エグゼクティブダイレクター)