Co-Labo(コーラボ)とは
Co-Laboプロジェクトは、「大人が活力を取り戻し、チャレンジする社会」を共に創る実験の場です。2026年1月より3か月間、全4回の活動を通して、パラアスリートの狩野亮さん、企業で働く皆さま、そして(株)ビジネスコンサルタントが一緒になって学び、探求します。

第1回では車椅子体験と対話を通じて、私たちの中にある「制約」や「挑戦」への思い込みを揺さぶりました。無意識に持っている前提に気付き、視点を転換する時間は、多くの参加者にとって自己を振り返る時間となりました。
第2回のテーマは「チャレンジする社会に向かうための推進力と規制力を考える」でした。背景にあるのは、「日々を懸命に生きているがゆえに、いつの間にか挑戦から遠ざかってしまう大人の姿」です。
本来、人も組織もチャレンジを楽しみ、新しいアイデアを生む力を持っているはずです。しかし現実には、
- 失敗を恐れて手を挙げにくい
- 前例を踏襲する方が安全だと感じる
- 良いアイデアを出した人ほど実行責任を負ってしまう
そんな空気が、静かに存在していることも少なくありません。挑戦しない人が問題なのではなく、挑戦しにくい構造に目を向けてみる。制約を言い訳にするのではなく、制約を創造性に変える。手放すべきものを手放し、次のスタートに切り替え、新たな挑戦に向き合う。
そうした構造を変えたいという想いをもって、第2回のワークショップに臨みました。
第2回の流れ
今回のワークショップでは、以下の2つに挑戦しました。
1.「大人が活力を取り戻し、チャレンジする社会」を具体的に描く
まず行ったのは、理想像の具体化です。「働く人々が活力を取り戻し、チャレンジする組織」とはどんな状態なのでしょうか。対話を重ねる中で、このような意見がでました。

理想を具体的な表現に落とし込むことで、目指す方向性が少しずつ明らかになっていきました。
2.なぜチャレンジできないのか?推進力と規制力を特定する
続いて、社会心理学者クルト・レヴィンの「力の場の分析」を活用して検討を深めました。
レヴィンは、組織の状態は「前に進める力(推進力)」と「現状にとどめる力(規制力)」の均衡によって保たれていると考えました。変化が起きないのは、意欲が足りないからではなく、両者が釣り合っているからであるという視点です。したがって、変化を起こすには単に推進力を強めるのではなく、規制力とのバランスを見直すことが重要になります。

グループワークでは、推進力と規制力を洗い出す中で、さまざまな具体例が挙がりました。ここでは、その内容を基に推進力・規制力になるものをご紹介します。
読者の皆さまも自組織を思い浮かべ、推進力・規制力がどの程度働いているのかをチェックしながら読んでみてください。
「推進力=挑戦を加速させるエンジン」になるもの
①ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)の浸透
組織が「何のために存在し、どんな未来を目指し、どんな行動を大切にするのか」を示すのがMVVです。ただし、MVVを掲げるだけでは行動につながりません。具体的にどんなチャレンジが期待されているのかを活動に落とし込み、評価制度や表彰も活用しながら浸透させることが重要です。
②心理的安全性とそれぞれの強みを認める
心理的安全性とは、「こんなことを言ったらどう思われるだろう」と過度に不安にならずに意見を出せる状態のことです。ただ否定されないということではなく、率直な対話ができる関係性があること。そのうえで、互いの強みを認め合える環境が整うと、「自分らしく挑戦してみよう」という意欲が生まれやすくなります。
③適切な目標設定(ストレッチゴール)
目標が挑戦を後押しするためには、簡単すぎず、しかし過度な恐怖を生まない水準にあることが大切です。「達成できるかもしれない」と感じるストレッチゴールは、組織に前向きな緊張感をもたらします。
④異動・越境を後押しする仕組み
人は、環境が変わることで視点が広がります。希望異動を支援したり、若手が複数のプロジェクトに関わる機会を設けたりすることは、異なる文脈に身を置く経験になります。固定観念を揺さぶり、新しい挑戦が生まれやすい土壌をつくります。
⑤質の高い振り返り
挑戦を続ける組織には、率直に振り返る文化があります。うまくいった点だけでなく、「なぜうまくいかなかったのか」「次はどうするか」を安心して語れる場があること。責任追及ではなく学習に焦点を当てた振り返りが、改善と挑戦の循環を生み出します。
⑥小さなチャレンジの価値付け
挑戦というと大きな改革を思い浮かべがちですが、実際に組織を動かすのは日々の小さな一歩です。新しい提案をしてみる、会議の進め方を変えてみる。そうした行動をきちんと認め、称賛する文化があると、人は安心して次の一歩を踏み出せます。
「規制力=挑戦の足かせ」になるもの
①「言ったもん負け」という暗黙の了解
良いアイデアを出した人が、そのまま実行責任を一手に引き受けることになる。そんな暗黙の了解があると、人は自然と慎重になります。提案すること自体がリスクになると感じられると、新しい発想は表に出にくくなります。悪意はなくとも、この見えないルールが挑戦の芽を小さくしてしまうことがあります。
②失敗への恐怖と不寛容
失敗そのものよりも、「失敗したと見なされること」への不安が生じることもあります。日々の何気ない言葉や空気の中から、自分がどのように見られているかに敏感になり、挑戦よりも無難さを選んでしまうケースです。失敗を責める文化は無くても、挑戦の抑制につながっているかもしれません。
③過度に厳しい目標・予算設定
目標は本来、組織を前に進めるためのものです。しかし過度に厳しい予算が続くと、挑戦よりも確実性が優先されます。失敗が許容されない環境では、新しい試みはリスクと見なされやすくなります。目標の設計次第で、それは推進力にも規制力にもなり得ます。
④ともに挑戦する仲間の作りづらさ
リモートワークの拡大や業務の効率化によって、雑談や偶発的な対話の機会が減少すると、挑戦は個人の孤独な試みになりがちです。支え合う関係性が弱まると、一歩を踏み出す心理的ハードルは高くなります。
⑤前例踏襲のマインド
過去の成功体験は組織の財産です。しかし、それが「これまで通りが正しい」という思考に固定されると、新しい選択肢が見えにくくなります。前例に従うことは合理的で安心できる選択です。だからこそ、その安心が新しいことに踏み出す際、無意識のブレーキになることもあります。
重要なのは、規制力を「悪」として排除するのではなく、その正体を理解することです。今の組織の状態は、推進力と規制力が拮抗して釣り合っているからこそ成り立っており、なぜその力が働いているのかを問い直すことで、現実的な施策が見えてきます。
そしてもう一つ大事なポイントは、「新しい推進力を追加すると、新しい抵抗も生まれる」ということです。そこで今回は、現状の推進力と規制力のバランスをあえて崩すことで、挑戦を推し進める。そのために、①推進力を1つ選んで強める、②規制力を2つ選んで弱めるということを試みることにしました。アクセルを強く踏むというよりも、ブレーキを緩めるイメージです。
規制力は敵ではなく、これまで組織を守ってきた力でもあります。その正体を言葉にし、少し軽くしていくこと。それが、無理のない形で挑戦を増やしていく第一歩になります。
このあと、ワークショップでは、自組織の強めたい推進力1つ、弱めたい規制力2つを選んだあと、参加者同士で相互アドバイスをしていきました。
第3回に向けて
第3回では、今回整理した「力の場の分析」を踏まえ、「わたし・わが社の挑戦テーマ」をさらに具体化していきます。推進力をどう活かし、規制力とどう向き合うのか。各自の現場に根ざした挑戦の設計を進めていく予定です。
「大人が活力を取り戻し、チャレンジする社会」は、どこかから与えられるものではありません。 私たち一人ひとりの手で、創り出していくものです。参加者の皆さんが、仲間と共にどんな変化を起こし、どんな学びを得ていくのか、今後も発信していきます。
次回の展開にも、ぜひご期待ください。

「大人が活力を取り戻しチャレンジする社会」をめざす”Co-Laboプロジェクト”を始動|共創プロジェクトレポート1
「大人が活力を取り戻しチャレンジする社会」を実現したい。㈱ビジネスコンサルタントは新たな取り組みとしてCo-Labo(コーラボ)プロジェクトを立ち上げました。4回にわたりパラリンピック金メダリスト狩野亮さんと13社の企業さまと共に進めていきます。今回は第一回目の様子をお届けします。
早稲田大学教育学部卒業後、株式会社ビジネスコンサルタントに入社。
学生時代より、子どもから大人までの「学び」に関心を持つ。
企画営業を経て、研修資料の作成や知的財産管理・法務業務を担当。
現在は研究開発部門にて、企業の人材育成・組織開発に関わるプログラム開発に従事している。




