「誰もがウェルビーイングを実感でき、ウェルビーイングが循環する社会の実現を目指そう」
そんな思いをもって、㈱ビジネスコンサルタントは2022年に「Well-being共創ラボ」を立ち上げました。その思いに、大変多くの企業の経営者が賛同くださいました。

賛同してくださった企業の皆さんと共に、様々な分野の専門家の方々にご協力頂きながら、ウェルビーイング経営について学び、つながり、情報を共有する活動をおこなってきました。

そして活動4年目 を迎えた今、私たちは、新たなフェーズに乗り出すべく、「共創」プロジェクトを立ち上げました。

Co-Laboプロジェクトとは

今回の共創プロジェクトには「Co-Labo(コーラボ)プロジェクト」と名づけました。「多くの人々と共に、新しいものを生み出す実験の場」という意味を込めました。

今回の取り組みは、パラリンピック金メダリストの狩野亮さんと協働しています。
狩野さんは、「年齢、性別、障がいの有無にかかわらず、自分の可能性に目を向けるきっかけをつくりたい」という想いをもって、一般社団法人を立ち上げて、ご自身でさまざまな活動をされています。
狩野さんの想いや活動と私たちWell-being共創ラボの目指す方向は重なっており、今回一緒に取り組むことになりました。

今回のプロジェクトでは「大人が活力を取り戻し、チャレンジする社会の実現」をテーマに掲げていますが、このプロジェクトが終わる段階でどのような変化やアウトプットが生まれているのかは未知数です。というより、私たちはこの取り組みを始めるにあたって、予定調和的な進行を優先するのではなく、「ケオディックパス」を歩むことを選択しました。

「ケオディックパスを歩む」ということ

今回のプロジェクトの前提としているキーワードが「ケオデイックパス」です。これは、Chaos(混沌)とPass(道)を掛け合わせた言葉です。あらかじめゴールや正解が見えている道ではなく、先が読めない混沌の中を進みながら、その都度、問い、感じ、選び取っていく。そんなプロセスそのものに価値があるという考え方です。

効率や成果が重視されがちな現代において、遠回りや迷いは、敬遠されがちです。しかし、あえて不確実な状況を受け入れることで、自分の価値観や無意識の前提が揺さぶられ、新しい気づきが生まれることがあります。今回のCo-Laboプロジェクトは、まさにそのケオディックパスを実践する試みでもあります。

そのプロセス自体に価値を見出し、カオスを許容し、変化を楽しむ。そんな場でありたいと思っています。

Co-Laboプロジェクトの展開

私たちがこのプロジェクトでテーマとして掲げているのは、
「大人が活力を取り戻し、チャレンジする社会」 
この大きなテーマを実現するには、どんな課題があり、どうしたらよいのか、さまざまな実験的な取り組みを取り入れながら、参加者みんなで考えていきます。
企業に属する組織人として、そして一人ひとりの個人として3か月間、4回対面・オンラインの活動を通して、取り組みを進めていきます。

第一回目「対話と車いす体験を通して、”制約”と”挑戦”を問い直す」

対話や体験を通して新しい価値を生み出す挑戦をしたい。そう思いながらこの企画をスタートするにあたり、狩野亮さんに共創のパートナーになって頂きました。

パラアスリート狩野亮さんを迎えて

狩野さんは、パラリンピック5大会に出場し、2010年バンクーバーオリンピックと2014年ソチオリンピックで金メダリストとなりました。

8歳の時に交通事故に遭い、それ以来車椅子での生活を送っています。事故は、幼い少年にとって大きな衝撃だったと思いますが、狩野さん自身の話からうかがえるのは、自然体のまま発揮されるレジリエンス(=困難をしなやかに乗り越え、回復する力)です。 
狩野さんからマインドセットや在り方を学び、一人ひとりの中にある力を呼び覚ましたい。狩野さんの経験や知見を私たちビジネスパーソンがヒントにできたらと思い、狩野さんのストーリーを共有する時間を設けました。

狩野さんを知るために今回は、ご本人からの自己紹介だけでなく、狩野さんと様々な活動をご一緒している方々からの「他己紹介」をしてもらいました。出会いのエピソードや日常の姿を通して、狩野さんの行動力、スタンス、そして想いが立体的に伝わる時間でした。参加者からの質問も出て、場の空気が一気に温まりました。

車いす体験を通して「挑戦」をとらえ直す

「チャレンジしよう!」とは言うけれど、それってどうやって始めればいいんだろう?

チャレンジと聞くと、身構えてしまう。頭の中だけで「チャレンジ」を想像するだけでなく、実際に身体を使ってチャレンジをしてみようということで、車いす操作体験を行いました。

ほとんどの参加者にとって、車いすは初めての体験でした。最初は少しびくびくドキドキしていましたが、ジグザク走行の練習や、車いす版の鬼ごっこをしたりする中で、少しずつ場がほぐれていきます。もう一段レベルアップして、5cmほどの段差を越えてみたり、坂道や階段など街中をイメージした車いす走行をやってみたり。

うまく操作できるか、不安とともに始まった車いす体験は、気が付いたら楽しく、笑い声と笑顔があふれる時間となりました。

頭の中だけで「チャレンジ」を捉えるのではなく、まずは一歩を踏み出す、動いてみる。少し不安があっても実際に動き出してみることの価値を感じた参加者が多かったように思います。

気づきの言語化と共有

体験のあと、グループで話し合いの時間を持ちました。体験を共有した人同士で、それを言語化しながら、気づきを深めていきます。

この車いす体験でチャレンジしたことは何だっただろうかを思い起こし、職場に持ち帰れることが何かを考えました。体験を一時の感動に終わらせず、それをどう職場や日常で展開し、社会に広げていくか。そんなことを念頭に置いた時間です。

参加者からはこんなコメントが挙がりました。

①「制約」は可能性を閉ざすものではなく、創造性の起点になる 
車椅子という制約の中で、「できないこと」に目が向きがちだ。しかし制約は「できない理由」ではなく、「新しい工夫を生む条件」にできる。制約があるからこそ、工夫・発想・戦略が生まれる。

② 挑戦とは「覚悟」ではなく「えいや!」の一歩から始まる
不安だったが「えいや!」でやってみた 。挑戦は勇気満々で始まるというより、「怖いけどやってみる」という小さな勇気でスタートする。大きな「覚悟」よりも「一瞬の踏み出し」を大切にしたい。

③ 共に挑戦することで「心理的安全性」が育つ 
時間と共にみんなの笑顔が増えていった。安心してチャレンジできる環境は、一緒に体験し、恥をかき、失敗しながらもお互いを応援しあう中で自然に生まれていったように思う。心理的安全は「作るもの」ではなく「生まれるもの」 なのかもしれない。今回のような共通体験の積み重ねが安心感・笑顔を生み、関係性の質を自然に高めていく 。

④固定的アイデンティティの揺さぶり
「私は挑戦できているのか?」という内省や、仕事での自分の在り方を頭で考えるだけでなく、体験を通して「自分像」が揺さぶられた。いつもの役割、いつもの強み、いつもの思い込み。こういったものが一度リセットされ、「できない自分」「助けてもらう自分」を体験することで、新しい自己認識が生まれた。

第一回目を振り返って

私たちは日々成果を追い求め、やるべき事をこなしながら日常を送っています。このプロジェクトのように、まだ見ぬ新しいものを探求し、そのプロセス自体を楽しみむのは意外と勇気がいることです。

しかし、第一回目の取り組みを通して感じたのは「人はチャレンジできる場を求めていて、それを楽しみたいと思っているのではないか」ということでした。チャレンジはいつでも失敗と表裏一体。ひょっとしたら何も生まれないかもしれないし、経済効率を追い求めるなら、マイナスの面が目立つかもしれせん。そんなチャレンジにぐっと立ち向かおうとしたときに、一緒に取り組む仲間がいて、対話しながら進められるのはとても心強いものです。私たちはそんな関係性を築きながら、小さいながらも歩みを進めていきたいと考えています。

「大人が活力を取り戻し、挑戦する社会」 そんな社会の実現に向けて、動き出します。

次回の開催は2月12日です。ぜひご期待ください!