持続可能性を確保するための競争の基準をデザインする

今までのCSR活動(企業に求められる社会的な活動)やエコ活動は、環境破壊のスピードを遅らせるために企業ができる事を中心に取り組んできました。省エネ、紙の使用を減らす、割り箸を使わないなど問題が明確なもの、目に見えやすいものへの取り組みがほとんどです。私たちはこれらの取り組みをサスティナビリティ1.0と位置づけています。

私たちは環境経営、CSR活動を進化させたサスティナビリティ2.0への取り組みが重要であると考えています。今後の企業経営における競争優位の構築で重要なことは、長期的視野に立ち「バックキャスティング」という発想を持つことです。

サスティナビリティ2.0とは、バックキャスティング(サスティナビリティを実現させるためには、現在何をするべきかを考えること)により自社が業界先頭に立ち競争ルール(サスティナビリティの事実上の標準を形成する)を新たに創り上げる「攻めの戦略」を指します。これが今後、自社の発展を考える上で求められる発想です。バックキャスティングで発想するときの時間軸は、510年ではありません。2050年先の時点に立って現在を見るという長期の時間軸が求められます。

現状から積み上げていく「フォアキャスティング」だけではいずれ限界がきます。
これまでの自社にない、また競争相手を凌駕する「イノベーション」の実践が必須です。

システム思考でのイノベーション

サスティナブル・ビジョンを実現するためには、供給を系統だって連鎖的に管理すること、ビジネスモデルイノベーション、バリューチェーン、全社展開へ発展させる、日々の活動に組み込むことが重要です。

経済活動は漏斗の壁の中で行われている

私たちが営む経済活動を取り巻く大きな経営環境を考えるときに、必ず考慮すべき点は環境システム社会システムです。この2つのシステムは、現在の私たちの経済活動を現状のまま維持すると、持続できないことは明白な事実です。漏斗の先が狭くなるように、私たちの経営環境は、今よりも厳しい様々な制約条件となっていきます。

環境システムや社会システムが変化してから順応するという受け身の経営ではなく、自社が将来の変化をいち早く察知し、業界のスタンダードとなる新たな競争ルールを作るという姿勢が必要です。

エレクトラックスは冷却システムにフロンガスを使用しない商品を開発し、フロンガス使用規制にいち早く対応しました。

MAXハンバーガーレストラン1990年代から将来の雇用環境悪化を見越し、いち早く障がい者雇用を行いました。MAXの取り組みは国連でも高く評価され、ブランド価値向上につながりました。

サスティナブルビジネス

  1. 経済性を伴った倫理!(ビジネスケース)
  2. 大きな中での詳細!(システム境界)
  3. 長期の中での短期!(戦略的次元)
  4. 相互の中でのすべての道具!(マネジメントの次元)

出典:The Natural Step

漏斗の壁を駆け抜けるためのサスティナブル・ビジョンを構築する

現在の経済活動を継続していると、いずれは、狭くなる漏斗の壁に衝突し事業の継続は不可能になります。狭くなっている漏斗の壁を駆け抜けるためには、「持続可能性の4原則」を満たしたサスティナブル・ビジョンを構築する必要があります。更に、サスティナブル・ビジョンを実現するための具体的かつイノベーティブなアクション・プランを企画し、実践することが重要であるといえます。

持続可能性の4原則

  1. 自然の中で地殻から掘り出した物質の濃度が増え続けない
  2. 自然の中で人間社会が作り出した物質の濃度が増え続けない
  3. 自然が物理的な方法で劣化しない
  4. 人々が自らの基本的ニーズを満たそうとする行動を妨げる状況を作り出してはならない

出典:The Natural Step

いかがでしたでしょうか。企業にとってのサスティナビリティとイノベーションとの関連性について以下のeBookに分かりやすくまとめています。ぜひ下記よりダウンロードしてご覧になってください。





サステナビリティとイノベーション 〜次世代への責任〜




笠井 崇

1988年入社。現在、テクニカル・ディレクターとしてコンテンツ開発、マテリアル開発の責任者を兼務。コンサルタントとしての専門領域は経営人材育成研修(社内ビジネススクール)、事業戦略、ビジネスモデルイノベーションに関する研修講師、サステナブル戦略、バックキャスティング経営に関する研修やコンサルテーションを担当。2015年国際NGO団体 The Natural Stepの認定トレーナーを取得。