2020年までに環境への負荷をゼロにする」

そんな無謀とも思えるミッションを掲げ、サスティナビリティの取り組みを続けている企業があります。世界的なタイルカーペット会社であるインターフェイスです。

驚くことにインターフェイスは、この「環境への負荷をゼロにする“ミッション・ゼロ”」に全社をあげて取り組むことで競争優位を生み出し、世界ナンバーワンシェアを保ち続けているのです。

2014年よりインターフェイスジャパンでは、「使用済みカーペットの回収・リサイクルプログラム」の提供を始めました。このプログラムの立ち上げには経営陣からのサポートが欠かせなかったといいます。インターフェイスジャパンのカントリーマネージャー福元美和さんにお話をうかがいました。

経営戦略としての「ミッション・ゼロ」

インターフェイスでは、サスティナビリティに関する取り組みは、日々の仕事の中でも優先的に取り組むべきことと考えられていて、営業担当である福元さんであっても、例外ではありません。

福元さんは、2014年、日本国内で「使用済みカーペットの回収・リサイクルプログラム」を立ち上げました。これは、インターフェイスのタイルカーペットを購入した顧客に対し、以前に使っていたタイルカーペットを回収し、再生原料としてリサイクルするプログラムです。このプログラムにより、顧客は産廃として埋め立て廃棄するか、リサイクルするかを選ぶことができるようになりました。

「実は、私が入社する以前の2008年頃、本社から全世界に向けて『インターフェイスは使用済みカーペットの回収・リサイクルするプログラムを行う』と、メッセージが出されました。ですが、国によって法律や手順が異なるため、未だ全世界で実現するまでには至っていませんでした。日本でも『法律面の問題で実施が難しい』とされ、手を付けられていなかったのです」。

しかし、アジア統括の社長から「これはインターフェイスとしてやるべき取り組みだ」との強い要請があり、福元さんが、手探りでプログラム作りを始めることになりました。

インターフェイスジャパンカントリーマネージャー福元美和さん「当初は私自身、『こんなプログラムを立ち上げるのは面倒臭い。こんなことをするくらいなら、1件でも多くお客様を回りたい』などと否定的な気持ちでした。そもそも法律や自治体の条例なども全く分からなかったし、どのようなコストがいくらかかるのか、見当もつかなかったからです。アジア統括の社長には、『日本でこの取り組みを行うのは難しい』と何度も返したのですが、『全てリサーチしてみて、それから考えなさい』という答えが返ってくるばかりで、根負けした形で取り組んだのです」。あちこちの産廃回収業者や自治体に電話をして回るなど、試行錯誤するうち、協力的でノウハウもある業者が見つかり、法律的な問題もクリアしたことで、2014年から提供可能なプログラムを立ち上げることができました。

このことからも、サスティナビリティについての取り組みは、サスティナビリティチームだけの役割ではなく、会社の経営方針として第一の優先事項として取り組んでいるという事がわかります。そして、この「ミッション・ゼロ」という、ある意味で業績目標以上に難易度の高い目標こそが、インターフェイスのビジネスのクリエイティビティを高めることにつながっています。経営層は「どうやって環境への負荷をゼロにできるのか」を日夜考えており、その思いが、「使用済の漁網をリサイクルする」といったアイディアの実現や、他社が真似できないストーリー性のあるデザインの商品や、使用済みカーペットの回収・リサイクルプログラムとして表現されているのです

一方で、「ミッション・ゼロ」に関する取り組みは、サスティナビリティを付加価値として他社のタイルカーペットからの差別化を図るためのマーケティング戦略でもあり、将来に渡って事業を継続し、発展させていくための経営戦略でもあるということを、経営層はもちろん社員全員が認識しているからこそ強力に進められているともいえます。

自動車業界においても、次世代モデルが次々と発表され、脱石油依存の方向に進んでいます。タイルカーペットは長いスパンで使うものであり、自動車のように燃費という形ですぐに効果は表れるものではありませんが、インターフェイスは、顧客にはデザインや機能性の高い商品を提供しつつ、社内では急ピッチでサスティナビリティへの取り組みを進めていくことでビジネス上のクリエイティビティを高め、そのストーリーを顧客に伝えていくことを戦略的に行っているともいえます。

福元さんは「ミッション・ゼロ」の期限となる2020年に向けた取り組みについて、「この先には非常に高い壁があり、社内には強い緊張感があります。日本支社としては、全社として『やる』と決めたことを確実に遂行していく、たとえば、タイルカーペットの回収プログラムなどを広げていく、といったことを地道にやっていくつもりです。大きな取り組みも大事ですが、11つの小さな取り組みを地道に続けていくことが大切だと思っています」と話していました。

タイルカーペット世界一 インターフェイスのサスティナビリティ戦略

  1. 環境への負荷ゼロを目指す
  2. CSRは営業活動の一部!?
  3. 社員が一丸となる3つの理由
  4. 持続可能性が競争優位の源泉
福元 美和
福元 美和(Miwa Fukumoto)

鹿児島県出身。ワシントン州立大学インテリアデザイン科卒。大学卒業後はシアトルの地元企業でインテリアデザイナーとして働く。帰国後、インターフェイス社にデザイナーとして入社。2012年同社カントリーマネージャー就任。インターフェイスがグローバルに掲げるミッション・ゼロの取り組みを日本でも実現するため、使用済みタイルカーペット回収プログラム「リ・エントリー」提供の実現等、実践奮闘中。
URL: www.interface.com
Email:jpnweb@interface.com

タイルカーペットの世界トップシェアを持つインターフェイス社。彼らが社内外の人々を巻き込み、ビジネスモデルの変革により実績を積み重ねている秘訣をインタビューし、4つの章にまとめました。本記事では4章のみお伝えしましたが、いかがでしたでしょうか?4章すべてをご覧になりたい方は、下記より是非ダウンロード頂き、貴社の取り組みにお役立てください。





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井上 佐保子
1972年東京都生まれ。慶應義塾大学文学部卒。通信社、出版社勤務を経て、2006年にフリーランスライターとして独立。ビジネス誌、専門誌を中心に、企業の人材育成、人材マネジメント、キャリアなどをテーマとして、企業事例、インタビュー記事などを多数執筆。人事・人材育成分野の書籍ライティングも手がけている。