先日、初めて『IKEA』に行ってきました。ご存知の方も多いと思いますが、スウェーデン発の世界的に有名な家具屋さんです。

私は、サステナビリティの勉強をはじめてから、IKEAがその先進事例として取り組んでいることを知っていました。しかし、これまでに一度も足を運んだことがなかったのです。

実際に行ってみると、まず、外観の倉庫のような様相に驚きました。また館内には、さまざまな部屋のイメージを楽しめるショーケースが。その店舗作りに感動しました。

さらに、スウェーデン料理が食べられる食堂もありました。もちろん美味しく堪能。スウェーデンで私が一番美味しいと感じた食べ物「じゃがいも」を思い出しながら……。

さて、今回は前回に続いて、サステナビリティについて感じたことをご紹介します。

 ハンバーガーはホッとする!?

スウェーデンで食べた思い出の食事の1つに「ハンバーガー」があります。

「ハンバーガーが思い出の一品!?」と怪訝に思われる方もいるかもしれません。しかし、滞在中は昼夜ともに会食が多く、かしこまったお店で食事をすることが大半だったのです。

そのなかで、カジュアルなハンバーガーはある意味“ホッとする味”で、ついつい2つも頬張ってしまいました。もちろんポテトも!

そのハンバーガー屋さんの名前は「Max Hamburger」。スウェーデンの中で、一番愛されているファストフード店です。

Max Hamburger」での3つの学び

Max Hamburger社からは、サステナビリティに関するさまざまな学びを得ることができました。そのなかでもとくに印象深い3つのポイントをご紹介しましょう。

1.CSOの「S」って

Max Hamburgerには「CSO」という役職があります。CSOは「Chief Sustainability Officer」の略だそうです。

その方のお話によると、店舗内での省エネといった内部環境だけでなく、サプライチェーン全体のカーボンオフセットといった外部環境を含んだ大きな枠で取り組みをされているとのこと。

また、顧客に対して自社の取り組みを発信し、多くの方に広く環境に関する知識を持ってもらうなどの工夫もされているそうです。

CSOの取り組みは、店鋪の環境マネジメントだけではありませんでした。

2. 20年前に始めた”サステナビリティ”の最初の取り組み

ハンバーガー店の大きな経営課題は「雇用」です。

学生に人気の就職先がIT企業やメーカーにかたよるなか、飲食業界は優秀な人材を採用できにくいという背景がありました。

もちろん、そのために賃金や待遇の水準をあげるという施策も考えられましたが、それでは利益を圧迫し、事業を持続できなくなってしまうというジレンマを抱えていました。

加えて、きたる少子高齢化の到来という環境変化も懸念されていました。

そこでCSOは、今までには採用しなかった人材に目を向けました。

それが「障がい者雇用」です。取り組み開始は約20年前からとのこと。

もちろん、障がい者雇用は簡単に実践できるものではありません。ポテンシャルの開発や健常者との関わり合いなど、現場のマネージャーやスタッフすべてを巻き込んだ総合的な取り組みが必要です。

3. マネージャーへの徹底的なトレーニング

そこで行ったのが、マネジャーへの徹底的なトレーニング。人に対する見方・関わり方を身につけてもらうため、心理学に基づいた実践的な手法で行ったそうです。

人の感情がどのような時に傷つき、どのような時に充実するのか。また、お互いが気持ちよく働ける職場づくりをいかにしたら構築できるのか。そういったことを、マネジャーの方々が自ら考えつつ、仕事に生かす日々が続きました。

その結果、障がい者の採用率がスウェーデン企業の中でもトップ水準に。やがてはスウェーデン政府の目にもとまり、表彰されるだけでなく、政府や企業に対して幅広くアドバイスするほどになりました。

さらに今では、難民としてスウェーデンに住む人の採用も実施。地域社会に貢献する企業として、ますます認知度が高まっています。

このような、地域社会に貢献し、活動自体が認められた結果、愛される企業になったとのこと。

(※Max Hamburgerの行ったマネジャーへの取り組みにご興味がある方は、ぜひお問い合わせください。)

「ダイバーシティ」と「インクルージョン」

いかがでしたでしょうか。Max Hamburger社の活動を知り、私が思い出したのは「ダイバーシティ」と「インクルージョン」という2つの言葉です。

ダイバーシティは「多様性」と訳されるように、人々の差異や違いを意識した言葉。一方インクルージョンは、含有や包含といった「一体になる」という意味合いの強い言葉です。

Max Hamburger社のように、地域社会に貢献し、多様性を認め、さらには社会のすべての人を包含した取り組みを行うこと。それが、これから愛される企業のひとつのロールモデルと言えるかもしれません。

サステナビリティというと地球環境に焦点が当たりがちですが、まずは、企業経営が健全であるのが前提です。そのうえで、地域や人の幸せに貢献する取り組みを行うこと。それが大切なのですね。

日本でもダイバーシティやインクルージョンに対する意識は高まっています。それは企業経営においても、取り組むべき課題として認識されるほどに。

それらに加えて、サステナビリティの取り組みがより戦略的に行われること。その先にこそ、本当に持続可能な経営があるのではないでしょうか。

「企業が生き残っていくための戦略」であるサステナビリティへの取り組みについてより詳しく知りたいという方は、ぜひ下記のeBookをダウンロードしてください。スウェーデン出身、サステナビリティの理論化であり実践家として世界的に著名なカール=ヘンリック・ロベール博士らの考え方などを分かりやすくご案内しています。





サステナビリティとイノベーション 〜次世代への責任〜




廣瀬 沙織
東京工業大学大学院 社会理工学研究科 修士課程修了/ 一般社団法人日本ポジティブ心理学協会 理事。 株式会社ビジネスコンサルタントにて営業マネジャー職を担当。その後、同社における顧客組織の組織開発と人材開発への投資効果と投資効率を最大限に高めるための会員制サービスの商品戦略を担当。現在は同社の研究開発マネジャーとして、サステナブル社会の実現のため、ポジティブ心理学やイノベーション理論、自然科学ベースの戦略策定フレームワークに基づく商品開発およびその実践を担当。